第50話 いざ決戦へ

「ならば以前と同じように、戦うしか道はないな」


 魔王がユーリアに告げる。


「前回と同様、我が勝ったのちは魔法少女ユーリアを魔王城に幽閉、ユーリアたちが勝ったのちは、我はしばらく大人しくしていよう」


 魔王の言葉にユーリアは「めんどい……」と言いながらも、ロザリオ型マジカルステッキを手に取る。


「ああ、幽閉といったが、魔王城の敷地内はどこでも自由にしてよいからな」


 と、魔王は最後に付け加える。


「ではやるかユーリアよ」


「うむ」


 魔王とユーリアが向かい合う中、ショコラがユーリアの肩をポンと叩く。


「お嬢様、まずは私にやらせて下さい」


 そう言うショコラにユーリアは言った。


「ショコラ、お前はミザデレールと戦った時の傷がまだ完治していないだろう」


 そう、ショコラはユーリアが白魔法で治療したとはいえ、8割方しか傷が治っていないのだ。


「大丈夫ですよ、ユーリア様。貴女が治して下さったおかげで、傷の痛みなど感じません」


 にこやかに笑い、ユーリアと同じ目線になり、慈しむような仕草でユーリアの頭をなでる。


「しかし……」


 言い淀むユーリアに対し、ショコラは続ける。


「お嬢様の役に立ってこそ、執事です。少しお休みになって下さい」


 ショコラは一歩も引かず、ユーリアは仕方なく折れた。


「危なくなったら、すぐに交代だぞ」


「わかりました、お嬢様。では行って参ります」


 ユーリアから魔王へと向き直り、ショコラは魔王の元へと近づいて行く。


「仲の良い執事とお嬢様だな。我は焼けたぞ」


 魔王の言葉にショコラは、


「ええ。私とお嬢様には絆がございますから」


 と話して、軽く頭を下げて頷いてみせる。


「我を裏切り、魔法少女に仕えるようになり、随分と久しいが。そうか、年月が絆を育んだか」


「年月など必要ありません。お嬢様に負けて心酔した時、私はお嬢様を主として忠誠を誓い、お嬢様は私を執事として信頼して下さった。その時から、我が主との絆はございますから」


 ショコラは饒舌に誇らしい気持ちで説明をした。


「羨ましくもなるな。やはりここはなんとしても我が勝ち、ユーリアを手に入れた方が良さそうだ」


 魔王は不敵に笑った。


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