第47話 次の部屋へ

「アモンの言葉を信用するんスか、姐さん」


「大丈夫だ。何度も相対しているが、アイツは約束を守る男だ」


 ミザデレールの心配に、ユーリアはきっぱりと言い切る。


「それにエンビが倒れても、エミュルが回復してくれる」


 ユーリアの言葉を受けて、エミュルはにっこりと笑い、答える。


「大丈夫ですわ。わたくしの回復魔法を信じて下さいませ。わたくしは、エリート魔法少女ですから」


 ミザデレールが心配しないように、エミュルが言う。


「だけど……」


 悩むミザデレールは、ある決断をした。


「じゃあ、アタシも残るっス!! エンビが倒れたら、アタシが参戦して、その間にエミュルにエンビを治してもらって……アタシとエンビ、交互にアイツに挑むっス!」


 右手を左手にバシバシと打ちながら、ミザデレールは決めた。


「まあ、俺はそっちの嬢ちゃんも鍛えてやってもいいがな」


「嬢ちゃんじゃねぇ! ミザデレールだっ!」


 笑うアモンに、ミザデレールは腹を立てた。


「そーいう訳で、姐さん! こけはアタシたちが残りますんで、姐さんが魔王を倒して来て下さいっ!」


 ユーリアにミザデレールが、ニカッと笑いかけて告げる。


「ああ。お前らなら大丈夫だろう。わかった、先に行く」


 ユーリアも納得し、ワープポイントまで歩いて行く。


「魔王のやつ、こてんぱんにしてやって来て下さいねっ!」


「わたくしの分も、やってしまって下さいな」


 ミザデレール、エミュルがユーリアの後ろ姿に声をかけた。


「うむ、行って来る」


 振り返り、ユーリアは頷いてから、歩き進めた。


「じゃあ、始めるとするか嬢ちゃん」


「嬢ちゃんじゃねぇ、ミザデレールだっ」


 水色のワープポイントに乗り、光に包まれる中、最後にアモンとミザデレールのやりとりが聞こえた。


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