第46話 倒れたエンビ

「エンビっ!」


 慌ててエミュル、ミザデレールは彼女に駆け寄る。


「ああ、最初の頭への攻撃で、脳震とうを起こしたんだろうな。さぞ、ぐらぐらしてただろうに……意地で俺に一撃、食らわしたか」


「いま、回復魔法をかけますわっ」


 エミュルが回復魔法をかけている中、アモンが言う。


「お前ら、次に言っていいぞ。このワープポイントで最上階まで行けるからな」


 アモンが指で示す先には、水色のワープポイントがあった。


「行っていいんですの?」


「次が魔王か」


 エミュルとミザデレールが、エンビを心配しながら尋ねる。


「ああ。ただし、エンビは置いていけ。コイツはもっと、鍛えなきゃならねーからな」


 アモンの言葉にミザデレールが反論する。


「お前、鍛えるとか言って、エンビを殺す気だろっ」


「殺す気でやらなきゃ、コイツは感覚を取り戻せねーからな」


「こんにゃろー」


 アモンとミザデレールのやりとりを聞いていたエミュルが言う。


「わたくしが、エンビとともに残りますわ。エンビがケガをしたら、回復魔法で治せますし」


 そう言ったエミュルに、


「エンビがやられたら、今度はお前が戦うことになるだろっ」


 ミザデレールが反対する。


「お前らも鍛えてやってもいいが、まずはエンビを鍛えるから安心しろ。手は出さねー」


「悪魔の言葉を信用出来るかっ! 放って置いたらエンビが死ぬかもしんねぇし、かと言ってエミュルも残ったら、エミュルが危ねぇ」


 アモンの言葉が信用出来ず、1人悶々とするミザデレール。


「そうだっ! 姐さんっ! 姐さんがアイツをやっちまって下さいよ! そんでみんなで最上階に行きましょう!」


 名案が閃いたとばかりに、提案をするミザデレール。


 だが……。


「アモンはエンビの敵だ。手は出せない」


 ユーリアの言い分に、


「そんなこと、言ってる場合っスか! いま、こうしてる間にも、街は魔物に破壊されてるかもしんないんスよ! コイツ倒して早く魔王を倒さないと……!」


 ミザデレールは説明をする。


「魔王を倒すなら、早く次へ行った方がいい。それにエンビにはエミュルがついている。……アモン、エンビ以外には手を出さないんだろ?」


「ああ、出さないぜ。それに殺す気でやるが、コイツを鍛えるためにやるだけだ」


「アモンはあのように言っている。例えエンビが瀕死になっても、エミュルがついている。大丈夫だ」


 と、ユーリアはミザデレールを次へ行くよう促す。


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