第45話 激しい戦いの末
「行くぜ、エンビ」
声が残像とともに消える。
「あ、ぐぅっ」
エンビの後ろから頭へ、衝撃が走る。
「おら、思い出せ。次に相手がどこから来るのか、どうすれば反撃出来るのかを……感覚を研ぎ澄ませっ」
アモンが語る間にも、エンビは彼の攻撃を受けてしまう。
「エンビが死んでしまいますわっ」
心配し、泣き出すエミュル。
「あのやろー。アタシがぶっ叩く!!」
助太刀しようと身を乗り出したミザデレールにユーリアは言う。
「あれは1対1の真剣勝負だ。助太刀されてエンビが喜ぶ訳がない」
ユーリアの言い分に、
「それでもっ」
「姐さんっ」
エミュルとミザデレールは、反論しようとする。
「それに見てみろ。エンビのやつ、一気に反応し始めている……」
ユーリアの言葉に、2人はエンビの方を見る。確かに彼女の反応が良くなっていた。
次はどちらか……右、左、右、前。
じりじりとした死への緊張感で、エンビの五感が研ぎ澄まされていく。
「感覚、思い出して来たか……」
アモンの言葉通り、エンビの身体は彼の攻撃をかわし始めていた。
「だが、逃げてばかりじゃどうにもならない、ぜっ」
衝撃波が発生する勢いのある爪が、エンビを襲う。
「……そこだっ」
エンビは刀に渾身の力と思いを乗せて、振るう。
キイイィン!
アモンの爪が舞った。
エンビの刀が、アモンの爪を折ったのだ。
「はあはあ……」
息を切らすエンビに、アモンが笑みを添えながら言う。
「一気に覚醒しやがったな……まあ、爪は予備があるから大丈夫だ。この調子で……」
ポタリ。
血が床に落ちた。見るとアモンの右手の甲に赤い一筋の血が、ついていた。
「爪を折るばかりか、俺に一撃をかますとはな。やるじゃねーか、弟子よ」
ガハハっと大きな声で笑い、アモンがエンビを褒める。
「貴様に、褒められても……嬉しく、は……な……い……」
そう言い終わるか否か、エンビはその場に倒れた。
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