第33話 メフィストフェレス

 ユーリアたちが、ワープポイントを使い辿り着いた場所は、闘技場であった。

 周りは白い壁に覆われ、コンクリートの床にマス目が書いてあるだけの、殺風景な場所だった。


「なんとか無事、着いたようですわね」


 自分の謎解きが合っていたことに、エミュルがホッと胸をなで下ろす。


「よく辿り着きました、お嬢様方」


 そこへ声をかける者がいた。


「アザゼルを破るとは、よくがんばりましたね。次はこのメフィストフェレスが、お相手します」


 右手に持つ、コウモリの羽が付いたマイクで話し、そうお辞儀した。


 メフィストフェレス。


 彼は暗い紫の長髪を後ろで束ね、隈のある黄色の瞳と赤い唇に、全ての者を見下す冷酷な笑みを貼り付けていた。

 そして、黒いロングコートに、皮のパンツに磨き上げられたブーツといった出で立ち。


「久しぶりだな、メフィストフェレス」


「おや、力お馬鹿の魔法少女、ミザデレール」


「んだと、こらっ! ぶっ倒してやるっ!」


 イキるミザデレールに「野蛮ですねぇ」と、わざと怖がるフリをするメフィストフェレス。


「ここでは、なにをやるんだ? さっきのアザゼルは、知恵比べだったが……」


 エンビが尋ねると、彼女を横目で流し見て、マイクで答える。


「ここではちゃんと、戦ってもらいますよ」


「よしっ、アタシがやるっ! アイツをボコボコにするっ!」


 意気込むミザデレールを鼻で笑い、メフィストフェレスは続ける。


「貴方に攻略出来ますかねぇ、このゲームを」


 そう言って、マス目が書いてある床に、歩みを進める。


「戦うと言っても、今回はルールを設けたゲームです。頭を使わなければ、勝てませんよ」


 メフィストフェレスがマス目に着いた瞬間、床が光を放つ。


 するとなにもなかったマス目に、森のフィールドを模した、疑似の冒険場が出来た。


「今回のゲームを発表しましょう」


 よく響くマイクで、メフィストフェレスは話す。


「タイトルは、盤上&モンスターズ!!」


 カッとスポットライトが、メフィストフェレスに当たる。


「盤上……そのマス目が、戦いの場所か」


 ユーリアがひとりごちると、


「ご名答! このマス目がゲームのリングになります。では、ルールの方を説明させて頂きます」


 メフィストフェレスは声高らかに話をして、説明をする。


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