第28話 ワープポイント

 魔王城の扉を開けると、1人の悪霊ジャックオランタンが出迎えた。


「やあやあ、いらっしゃーい。皆さんお揃いで。ユーリア様ご一行、ごあんなーいっ」


 ハイテンションな様子で彼は、城に招き入れた。


「相変わらず、うるさいですねぇ……彼は」


 ショコラは口元に手をやりながら、呟いた。


 ジャックオランタン。

 彼はオレンジのカボチャを頭に被り、白いシャツに青いボロボロのマントを身に纏い、黒いジーンズに皮のブーツを会わせた格好の彷徨う幽鬼。


 右手には、道を照らすランタンを持っている。


「さあさあ、今回で・す・が! こちら、じゃじゃーんっ! ワープポイントでーすっ!」


 ジャックオランタンが、腕を広げて紹介をする。彼の示す先には、2つの瞬間移動装置があった。


「皆さんには、ワープポイントを使い、魔王城の最上階まで目指して頂きますっ! ハイっ! もちろん、ハズレもあるから注意だよっ! あ、最初の地点にあるこのワープポイントだけは、2つとも正解だよっ! 以上、説明終わりっ!」


 自分の右手にぶら下げている、ランタンをゆらゆらさせながら、周りの反応を待っている。


「ハズレを選ぶと、どうなるんだ?」


 エンビが聞くと、


「最初の地点まで転送されちゃいますよっ! 注意だよっ!」


 その場で、くるくるとし出す。


「あっ、そうそう、ここにある2つのワープポイントは、人数制限があるよっ! だから全員で一緒に最上階を目指すことは出来ないよっ! 残念っ!」


 ジャックオランタンの説明に、一同は悩む。青と赤、2つのワープポイント。


「人数制限があると言いましたけれど、最大何人ですの?」


「最大4人だよっ! オーケイ?」


 誰と誰で行くのか……。



 色々と悩んだ結果、


 赤には、ミザデレール、エミュル、エンビ。


 青には、ショコラ、アザリ。


 5人が決まった。


「では、最後のユーリア様っ! どちらも、最大人数になっておりませんので、赤、青、お好きな方をどうぞっ! ハイっ!」


 ジャックオランタンに言われ、ユーリアは「うむ」と答えた。


「姐さんっ! 一緒にいきましょーよっ!」


 ミザデレールが呼びかける。


「ダメだよユーリア。こっちだよっ! コイツと2人きりなんてやだっ!」


「私が嫌なら、貴方があちらに行き、お嬢様がこちらに行けば、良いのでは?」


「そしたらユーリアいないじゃんっ! それに、青はユーリアの服の色だしっ! こっちがいいんだっ!」


「……面倒な男ですね」


 ユーリアは……



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