第29話 ミザデレールたちの方へ

「よかったーっ! 絶対、こっちですよ!」


「うむ」


 ミザデレールは、ユーリアに抱きつく。


「ユーリアー……なんでぇ」


「では、お嬢様。また後で逢いましょう」


 ずるずるとアザリを引きずって、ショコラは青のワープポイントへと乗り、移動した。


「では、ワタシたちも行こう」


「そうですわね」


 ユーリアたちも赤のワープポイントへと、向かう。


「いってらっしゃーいっ!」


 ジャックオランタンが手を振り、お見送りをした。


 ワープポイントに乗った瞬間、赤い光に包まれて4人は移動した。


────


────────


 気が付くと、ひとつの大きな扉の前に転送されていた。


「さあ、行くぞ」


 エンビが、植物のレリーフが施された扉を開けた。それに続く3人。中の眩しい光が、こちらの瞳を瞬かせる。


 広い室内。

 赤いカーペットが敷き詰められた床に、天井には豪華なシャンデリア、大きなガラスが嵌められた窓。まるで、貴族が住まう宮殿のようだ。


「なんだ、お前らか」


 出迎えたのは1匹の悪魔。

 その名をアザゼルという。


 アザゼルは、顔全体を隠す黒いフードを被り、青の差し色が入ったローブには、7匹の蛇が巻き付いており、黒いローファーを履いていた。


「ショコラのやつが来るかと思ってたが……ハズレだな」


 口元だけ見える顔は、不機嫌そうに曲がった。


「悪かったなぁー。こんにゃろー相変わらずすましやがって」


 ミザデレールがアザゼルの言葉に噛み付くと、彼はため息混じりに答える。


「最上階を目指してんだろ? なら、さっさとこの問題を解いて、行っちまえ」


「問題だと? 戦わないのか?」


 エンビの問いにアザゼルは、


「ブラックシャドウがいねーなら、どうでもいいからな」


 ショコラの2つ名を言いながら、首を掻き答える。


「やる気のない悪魔ですわね……」


「お前らと戦っても、つまんねぇからな。やっぱ悪魔同士じゃねーと」


「失礼ですわっ」


 怒るエミュルを放って、アザゼルは続ける。


「見ろ、ここに6つのワープポイントがある」


 ユーリアたちが見ると、確かにそれぞれ赤、青、白、紫、ピンク、水色のワープポイントがあった。


「今から問題を出すから、さっさと解いてここから出て行ってくれ」


 シッシッと、追い払う仕草をするアザゼル。その態度に身を乗り出し、文句を言おうとしたミザデレールとエミュル。

 それをエンビが止めた。


「魔王に辿り着くまで、体力は温存した方がいい」


「むう……そうだな」


「仕方ないですわ」


 彼女の説得に渋々、2人は頷いた。


「じゃあいいかー。問題いくぞー」


 やる気のない態度に苛立ちながら、アザゼルの出す問題に耳を傾けた。


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