第25話 エンビが仲間になった

「迷惑をかけたな、ユーリア。敵味方が、わからなくなっていた」


 親衛隊魔法少女たちの魔術を全て解き終えて、エンビはユーリアに刀を返してもらう。


「構わない」


 ユーリアを囲むアザリたたを見て、エンビは言う。


「また、魔王退治か?」


「ああ」


「なら、アタシも同行しよう」


 エンビは刀を鞘に戻して、微笑んで言う。


 すると、


「キャーッ」


「エンビスマイルー」


「カッコイイー」


 などと、黄色い声が上がる。


「この親衛隊魔法少女たちも、連れて行くのぉ?」


 イヤそうに言うアザリにエンビが、


「いや、置いていく」


 と言えば「ええぇえ!」と親衛隊魔法少女たちから声が上がった。


「エンビさまー」と慕う彼女たちの声に、エンビは諭す。


「向かうのは魔王城だ。お前たちの能力では歯が立たない。申し訳ないが待っていてくれ」


 謝るエンビにおろおろしながらも、納得したようだった。


「がんばってーエンビさまー」


「勝利を祈ってますー」


 親衛隊魔法少女たちから、なにやら色々と差し入れをもらうエンビ。


「モテモテだな、エンビ」


「心配しなくても、ユーリアには僕があるからねっ」


「姐さんには、アタシがついてますっス」


2人にぎゅうぎゅうされているユーリアと瞳が合い、エンビは笑った。




 そこへ、コツコツと靴音を響かせて来る人影。


「お待たせ致しました、お嬢様」


 ショコラがユーリアの城から、戻って来たのだった。


「うむ、ご苦労だった」


「ねぎらい、ありがとうございます」 


「なんだよ、戻って来たのかよぉ」


 アザリは1人、不満顔だった。



「前回と同じメンバーが揃いましたわね」


「この6人で、魔王を叩くっス」


「ああ、魔王を倒そう」


「では、魔王城へ行くぞ」


 魔法少女たちは言い、そうして6人は意気込んで魔王城へ向かったのだった。



────


────────


『いま、魔法少女たちがエンビを仲間にし、そちらに向かっております。では、私はこれで』


「そうか、わかった。……そろそろといった所か……待っているぞ」


 あたり一面、毒沼と毒の霧が漂う魔王城の外で、魔王が静かに待ち構えていた。


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