第24話 決着がついた
「相当の、手練れだな」
ニヤリとエンビが笑う。
「そうか?」
エンビとユーリア、2人同時に距離を取る。そこへ一際高い衝撃音がして、洞窟が揺れた。
ユーリアが水魔法を放ったのだ。
「詠唱なしで……! 姐さん、さすがですっ!」
しかしエンビは素早く刀を振り、勢いのある大量の水を叩き斬った。
「この程度の水魔法など、避けるに値しない」
水流は真っ二つに割れ、辺りに飛び散った。
だが……。
「うむ、お前なら避けずに叩き斬ると思った」
ユーリアに焦った様子はなく、「ステッラ・ルジャーダ」と召喚魔法を唱えると、巨大なU字型の磁石が出現した。
「ユーリアは磁石なんか召喚して、どうするんですの?」
見守る一同が不思議に思っていると、ユーリアはその頭上に掲げ持った磁石を、エンビに向けた。
「……なんのつもりだ、ぬ、し……!?」
するとエンビの身体が勝手に、磁石へと吸い寄せられていく。……いや、彼女の持っている刀が。そのせいで刀を握り締める彼女までもが、吸い寄せられていたのだ。
ガチィイイン!
重なり合った金属音。
エンビの刀は、磁石にくっついて取れなくなってしまった。
「ぐっ、なぜ!?」
刀を磁石から引き離そうともがくエンビに、ユーリアは言う。
「さっきの水魔法の攻撃に、材質変化の魔法も混ぜて放ったのだ」
材質変化の魔法。
物質ゆありとあらゆる物に変えられる魔法である。
「刀を磁石にくっつく素材に、変えさせてもらった」
「主、真剣勝負に汚いぞ……」
「すまんな、先はまだあるのでな。手っ取り早く済ませたかった」
刀を取られ、降参したエンビの魔法を解いてやった。
「なんか、エンビもエンビのままだったよね。意志の強い魔法少女たちは、魔王の魔術にかかっても、完全には傀儡にはならないってことかな?」
「……それを言ったら、あのエンビの親衛隊魔法少女たちもそーなるよなぁ」
正気に戻ったエンビが、大人しくする親衛隊魔法少女たちの魔術を解くのを見ながらそう話す。親衛隊魔法少女たちは操られていたが、エンビを慕うのは前と変わらなかったからだ。
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