第23話 エンビVSユーリア

「ちょっと、エンビに気付かれてますわよ!! 魔法でバリアーと気配消しをしてるんじゃありませんこと?」


「バリアーは全部の攻撃を避けるけど、気配の方は人にはバレるんだ」


「このへっぽこ僧侶っ!」


「なんだとぉ。君だって──」


────!!!!


 突然の出来事に3人は、息をするのも忘れた。お喋りに夢中になり、彼女の気配を疎かにしていたのもあるが、なにより驚いたのは『速さ』だった。


 エンビが隣りにいる……


 そう気付いた後に、ゆっくりと気付く。自分は彼女の刀で切られたのだ、と。あまりの速さと切れ味に、痛みが遅れてやってきたのだ。


「バリアーは大丈夫って、嘘でしたのっ!!」


「ひとつ、例外があった……エンビの変幻自在の剣だ」


「バカ僧侶っ」


 アザリ、エミュル、ミザデレールが痛みに呻く。


「……主、出来るな。勝負、願う」


 そんな中、ユーリアに向けられた刃は、その小さな彼女の手が掴み止めていた。眠っていたはずのユーリアだけ、エンビのその動きに対応出来たのだ。


「ミザデレール」


「あっ……起きたんスか? 姐さん」


 ユーリアに言われ、彼女を背中から降ろしたミザデレール。


「久しぶりだな、エンビ」


「構えろ、早く」


 急かすエンビにユーリアは、腰に付けたマジカルステッキを右手に取る。


 そして2人は周りと距離を取り、アザリたちと親衛隊魔法少女たちが見守る中、静かに向かい合う。


「主を斬る、覚悟」


「本気みたいだな」


 エンビは殺気を隠しもせず、ユーリアにぶつける。



────始まる……!!


 周りの観衆それぞれがそう思った後、2つの影が一瞬にして消えた。次いで感覚に届いたのは、高い金属音と風。


「2人の戦いが速過ぎて、瞳が追いつかないよ……」


「あのユーリアと剣の達人のエンビです。わたくしたちの視界に、映るはずがありませんわ」


「姐さん、凄すぎる!!」


 3人が話す間も、激しい風が起こり、辺りに砂埃を立てる。


「他の魔法少女たちが危ない。バリアーを広げるよ」


 アザリは範囲を広げ、親衛隊魔法少女たちにもバリアーを張る。




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