第22話 エンビ

 そしてユーリア達はと言うと、アザリの魔法のおかげで魔物達に気付かれることなく、洞窟の出口を目指していた。


「けど、アナイチーズは便利だな。洞窟の出口まで表示してくれるし」


「わたくしに感謝なさい」


「はいはーい」


 アザリとエミュルが話をしている中、ミザデレールはユーリアに話しかけていた。


「また姐さんと冒険の旅に出られるなんて、アタシ嬉しいっスよ!」


「そうか?」


「はいっ! 初めて出会った時に姐さんにケンカふっかけて、こてんぱんにされたのはいい思い出です!」


「そうか……」


「今回もわくわくな旅になると思うっス! だって姐さんがいますし!」


「そう……」


「アタシも姐さんみたいに強くなりたいっス! もっともっと強くなりたいっス!」


「……」


「あれ? 聞いてます、姐さん」


 ミザデレールが見ると、ユーリアは器用に歩きながら眠っていた。


「あ、眠いんスね! おんぶしますっ!」


 さっと動いてユーリアをおんぶした。遅れて歩いているミザデレールに対し、苛立ったエミュル。


「なにをしているんですの? さっさと……」


 そうエミュルが言い終わる時だった。急に大地が揺れる。ズズンと大きな音を立てて、次いで聞こえるのは「キャーッ」という複数の女の子達の声。


「音が近づいて来ますわ!」


「!!」


「ギィアアア」という魔物の断末魔と共に、こちらに向かい歩を進めた人物。更にキャーキャー言う女の子達の声が続く。


「つまらぬ……」


 複数の魔法少女達を連れて現れた、一人の魔法少女。


「あれは、エンビ!」


 エミュルが声を張り上げた。


 刀のマジカルステッキを腰にぶら下げた魔法少女。


 その名はエンビ。


 黒の短い髪に結ぶは緑のリボン付きヘアバンド。黒い吊り気味の瞳は鋭く、レースの付いた緑のワンピースに、ループタイ、左肩にはマントを付けている。靴は茶色のミュールだ。


「キャーッ素敵ー!」


「エンビさまー!」


 そしてエンビが引き連れているのは、彼女の親衛隊である魔法少女達。

 どうやら魔物に襲われていたわけではなく、エンビの勇姿に黄色い声をあげていただけらしい。


「そこの貴様達……ワタシと勝負してもらうぞ」


 右手で持った刀型マジカルステッキを一振りし、ユーリア達の方を見る。


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