第21話 マグマドの洞窟

「この洞窟を抜ければ、魔王城ですわ」


 エミュルは補助魔法、アナイチーズでマップを出現させて、マグマドの洞窟までユーリア達を道案内した。


 マグマドの洞窟。

 そこは中級から上級の冒険者達や魔法少女達が修行するのに、最適な場所だった。


 魔物は程よく出て、疲れたら回復スポットがあり、例え回復道具がなくなっても、街に戻らずに永遠とレベルアップに励めるのだ。


「けど、あなた達、よくアナイチーズの魔法無しで冒険してこれましたわね」


「ショコラがいたからな。あやつは地理に詳しい」


 ショコラはいったんユーリアの城に戻っており、まだこちらには戻って来てはいない。


「僕もアナイチーズ、覚えたかったんだけど、会得出来なかったんだ」


「元々が方向音痴だからな」


「才能がなかったんじゃねぇーの?」


「失礼だなっ。ユーリアはいいけど、君には言われたくない」


 3人が話しているのを呆れた顔で見ながら、エミュルが言う。


「早く行きませんこと? 洞窟を抜けてさっさと魔王を倒しますわよ」


 先に進んで行こうとするエミュルを引き止めて、アザリが言う。


「魔物と戦うのは厄介だから、僕の補助魔法を使って行こうよ」


「なら、さっさとやって下さいませんこと?」


「かわいくないなぁー」


 アザリはブツブツと文句を言いつつ、空間当止くうかんとうし隠姿消影いんししょうえいをかけた。


「では、行くぞ」


「もちろんっスよ、姐さん!」


 一行はマグマドの洞窟の中へと、足を踏み入れた。



 ────


 ────────


「ではマルコシアスはこちらの街を守って頂けますか?」


「あい、わかった」


 ここはユーリアの住まう城。ショコラが自ら指揮する悪魔達に、街の警備を指示していた。


 指揮するといっても、上司部下の関係ではなく、仲間といった間柄だ。その為、対等な態度で接していた。


「さて、あのポンコツ神も出発しましたし、そろそろ戻りますかね」


 ちらりと壁時計を見て、ショコラは気付く。


「おや、時計に埃が。よく見ればあちらにも。……少し掃除をしていきましょう」


 ショコラがユーリア達と合流するのは、まだ先のようだった。


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