第19話 一件落着
「お前達には、魔王の魔術で操られていた記憶があるのか?」
ユーリアが尋ねると、
「え、まあ、ありまスかね。操られていたせいでこう、ふつふつと体の奥底から湧く破壊衝動はありましたし、姐さん達のことが、わからなくなってましたけど」
「わたくしも記憶はあるんですけれど、操られていた時は何故だか怒りが増幅されるような感覚に陥ってしまって……自分を止められませんでしたわ」
2人の話を聞き、ユーリアは考えた。
「前に魔王に支配されていた時も同じだったが、魔王の魔術の効き目には個人差があるな」
「それぞれの信念、といったものが関係しているのかもしれませんね」
「2人は割といつも通りだったし、影響は少なかったんじゃないかなぁ」
お互い意見交換をし合い、納得がいった。
「信念の低い、または自分の軸がまだない者には、影響が大きかったかもしれません」
3人の話を横で聞いていたミザデレールは、口を挟んだ。
「もしかして、また世界は魔王に支配されたんスか?」
「そういうことになりますね」
ミザデレールはマジか! と言いながら続けた。
「じゃあ姐さん達はまた、あのアホ神に頼まれて旅してんスか?」
「そうだ」
「ええ~、じゃあじゃあピンチっスね! 助っ人がいりますよね! アタシも同行しますっ!」
ビシッと敬礼をして、ミザデレールはユーリアに了承を取ろうとする。
「ええ~、僕はイヤだよ。こんなユーリアのデレストーカー、一緒に旅したくない」
「んだと、コラっ! 表に出ろっ!」
「もう出てるよ……。それに、この街はどうするのさ?」
「あっ、そうだった……アタシが壊しちまったんだ」
街の惨状に気分を落とすミザデレール。
「住民はどこかに避難していたから大丈夫だったけど、ここまで街を破壊させちゃって」
「うっ……そうだよな」
肩を落とすミザデレール。そこにユーリアは腕を組みながら、提案する。
「魔王に操られていたんだから仕方ない。街は魔王との戦いが終わり次第、ジャスさんに元通りにしてもらえばいい」
「!! さすが、姐さんっス!」
ミザデレールはユーリアに抱きつく。
「あっ、ずるい! ユーリアは僕のだからね!」
2人にぎゅうぎゅうと抱き締められながら、ユーリアは話す。
「ショコラ、ひとつ頼めるか?」
「なんでしょう?」
ショコラは、ユーリアに抱きつくアザリを木っ端微塵にしたい衝動を抑えて聞く。
「城の警備をしているジャスさんに、伝言をして欲しいんだ。全ての街の住民達を避難させて欲しい、と」
「……あの神より、私の指揮する悪魔達にやらせましょうか?」
「悪魔達が押し寄せたら、普通の人間は逃げ惑うだろう。だが、避難させた後、魔物達が街に侵入しないように、悪魔達に警備をして欲しい」
「わかりました。城にいる悪魔達を少し、手配します。では、行って参ります」
そう言うや否や、ショコラは瞬間移動をしてジャスティアス達に伝えに行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます