第13話 ルプトプラスの街

 リココ平原を抜けて、やっと辿り着いた街、ルプトプラス。


 この街は、豊かな資源に恵まれて街は活気づいており、貿易も盛んに行われている。レンガで出来た家、教会や店は美しく、しっかりと丈夫な造りだ。

 ジェロミーゼの町には無かった、ギルドの仲介所があるのも特徴。


 しかし街は静まり返り、人の気配は無かった。……遠くの方で、爆音がしている以外は。


「エミュルがいませんね」


「そうだな」


「エミュルって、あの高飛車な魔法少女? 僕、苦手だなー」


 ユーリア一行は、音のする方へと向かった。



 ────


 ────────


「さっさとくたばり遊ばせっ!!」


「うるせー!! そのしゃべり方どうにかしろっ!」


 3人が到着すると、2人の魔法少女が戦っていた。


「エミュルとあれは確か……ミザデレールですかね」


「ああ、ミザデレール……あやつか」


「げっ!? あのユーリアのデレストーカー!?」


「貴方が言いますか」


 エミュルは金色のポニーテールに、睫毛の長い青の瞳、レースをふんだんに使った膝丈のピンクのドレスに黒のブーツといった出で立ちで、魔法少女の証であるマジカルステッキは、月の飾りがついたピンクと水色のしましま模様。


 対してミザデレールは、茶色のツインテールに猫目の大きな黄色い瞳、白いシルクシャツに、茶色いキュロットと赤いピンヒールを履いている。

 マジカルステッキは、赤い如意棒というシンプルな物。


 3人が話す間も、2人の魔法少女の戦いは熾烈を増していく。


「この地を頂くのは、わたくしですわっ」


 エミュルが叫び、マジカルステッキから炎を迸らせる。それをミザデレールが水を出し、消そうとする。


「なんでだぁー」


 しかし出したのは、蛙。

 蛙は少量の水を吐いたがもちろん、それで消せる炎ではない。

 慌ててミザデレールは、蛙を消して炎を避けた。渦巻きながら勢いのある炎はミザデレールの横を通過し、後ろの建物を焼いた。


「ふふふ、また可笑しな魔法を出しましたわね。見習いからやり直したらどうですの?」


「うるせー!! こうなりゃ、肉弾戦だっ!!」


 ミザデレールは少し焦げてしまった魔法少女の服を手で払ってから、エミュルを見据えた。


 くすくす笑うエミュル。


 しかしミザデレールは動じずその刹那、一気に彼女と間合いを詰めた。

 弾丸のように駆け出したミザデレールは、エミュルの瞳には捉えることが出来ず、反応が一瞬遅れた。


「かはっ……!!」


 ミザデレールが繰り出した右足の蹴りに、エミュルは天空高くへと飛ばされる。だが、すぐにエミュルは空中で態勢を立て直し、マジカルステッキを構える。


 下ではミザデレールが落ちてくるエミュルを迎え撃つべく、戦闘態勢でいる。


「調子に乗るのも、ほどほどにしないませーー!」


 エミュルが繰り出したうねる炎が、地上のミザデレールに襲いかかった。


 ミザデレールはマジカルステッキを構え、それを両手で高速で旋回させ、炎の勢いをどんどん殺していく。


「うそでしょ……」


 炎はマジカルステッキの風に飲まれていき、やがて消えてしまった。

 ここで気持ちを立て直し、次の手を打てばエミュルはまだ、起死回生したかもしれない。

 しかし、自分の得意技の炎を消し飛ばされたショックで、呆然としてしまった。


「待ってたぜ……っ」


 ミザデレールとの距離が1メートルを切った時、エミュルはハッとしたが遅かった。


「だりゃりゃりゃああぁあーーっ!!」


 マジカルステッキを投げ捨て、拳で解決しようとするミザデレールの餌食となった。


「あああっ……!!」


 彼女の拳が止んだ時、エミュルは地面に叩きつけられて、動かなくなった。



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