第11話 ジェロミーゼの町

「お嬢様、着きましたよ」


 目指していたジェロミーゼの町に辿り着いたショコラは、抱っこしていたユーリアに声を掛ける。

 ここへ来るまでに数々の魔物に出逢ったが、ショコラは難なく倒していき、ユーリアを抱えたまま無事に辿り着く。


「うむ、そうか」


 ユーリアは瞳をこすりながら答え、地面に降ろしてもらい、2人で辺りを見渡す。


 小さな町、ジェロミーゼ。

 そこはのどかな雰囲気を残した、昔ながらの町で、周りの家々は木造で出来ている。土地の面積が小さく、町全体では物の生産が難しい為、物質は隣町のルプトプラスに出向き、仕入れていた。


「いつ来ても、のどかな風景ですね」


「うむ、いい町だ」


 爽やかな風を受けながら2人は話す。


「まずは情報収集ですね。この町では確か、エミュルという魔法少女が守っていたと思います」


「エミュルか」


「はい。あのポンコツ神が言う話では、ユーリア様以外の魔法少女が魔王によって操られているということですから、油断は禁物ですね」


「そうだな、用心しよう」


 2人が歩き出すと、ちょうど男性が歩いていたので、話を聞くことにした。


「すみませんが、少しよろしいでしょうか?」


 ショコラが丁寧に尋ねると、男性は2人の方を見て立ち止まり、話を聞く。


「ああ、なんだね」


「この町を守っている、エミュルという魔法少女のことで話が」


「エミュル!? エミュルが戻って来たのか!? た、大変だー! みんなーっ、逃げろー!!」


 話を聞き終わる前に男性は大声を上げて、


「エミュルだって!?」


「逃げろーっ!!」


 周りにいた住民は皆一斉に逃げ出し、家に閉じこもってしまった。ため息を吐きながら、ショコラは話す。


「あの様子だと、操られたエミュルがすでに暴れたんでしょう」


「そうみたいだな」


 辺りをよく見ると、破壊された跡のある家が2、3件そのままになっていた。


「さて、困りましたね。住民達に話を聞けそうにありませんし、エミュルがどこに行ったのやら。見つけ出して、魔王の魔術を解いてやらないと」


 ショコラは思案顔になるが、ユーリアはあっさりと言った。


「アイツのことだ。隣町のルプトプラスにいるだろう」


「そうなのですか?」


「ああ。前に魔法少女として、ジェロミーゼの町の守りが決まった時『ルプトプラスがいい』と、だだをこねていたからな」


「さようでございますか。では、改めてルプトプラスの町を目指すことにしましょう」


 2人は仕方なく、ジェロミーゼの町を後にした。






 その頃アザリは、道に迷っていた。


「ジェロミーゼの町は、どこなんだ~ユーリア~、会いたいよぉ~」


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