第3話 ユーリアに頼もう!

「久しぶりだな、ジャスさん」


「ジャス、ティアス、様っ! ジャスティアス様と呼ぶように言っておろう!」


 ああ、憎々しい! ふてぶてしいっ!


 元・魔王の手先、現・ユーリアの執事ことショコラに(ムリヤリ)案内させて着いた接見の間。


 白く輝く大理石に、丸い支柱で支えられた広間。磨き上げられた綺麗な床には赤いカーペットが敷かれ、導かれるままに進めば、あやつこと世界最強の魔法少女のユーリアがおった。


 1年前と変わらない、毛先がカールした黒髪のツインテール、深い群青色に赤の差し色が入ったドレスとブーツ。


 そして、顔。

 そう顔だ。

 一度みたら忘れもしない、人を小馬鹿にしたような大きな三白眼に、あほみたく開けた三角の口!


 魔法少女ユーリアは、4等身の小さな体で黄金色の玉座にだるそうに座っていた。ただお尻が痛くないように、柔らかなクッションを敷いて。


「ああ、そんなに屈まんでよい。楽にしてよいぞ」


「……なっ!」


 ユーリアに言われてから神は気付いた。自分が片膝ついて跪いていることに。


 いや私、神だしっ! なんで跪いているんだっ!


 神は慌てて立ち上がり、背筋を伸ばしてふんぞり返った。


「……改めてユーリアよ、いま再び荒れ果てたエアデロンの世界を救いなさい。魔王の魔術により、この世はまた混沌とした世界が広がっておるのだ」


 さっきの失態を取り戻すかのように、神はその名に相応しいカリスマ性溢れる演説を始めた。


「世界の魔法少女たちは魔王の手により、悪に染まってしまった。お前の力で全ての魔法少女たちを魔術から解き、力を合わせて魔王を倒しなさい」


 決まった……!

 瞳を閉じて悦に浸る神は、内心自らの素晴らしさに満足していた。


 ……。


 ……。


 余りにも長い沈黙に耐えかねて、神はそっと目を開けた。


「って、おいっ!」


 ユーリアはどこから出したのか、サングラスを付けている。


「ジャスさんは、まぶしい……」


 ユーリアはイヤそうな声ではっきりと神にのたまう。


「その髪の輝きはなんとかなならないか? ワット数、下げて欲しい……」


「え、あっ、そんなにまぶしい? ごめんね、下げるね」


 神はしゅんっとして、髪の毛の明かりのワット数を下げた。


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