【シリーズ恋イカ短】恋する令嬢女白騎士団長が田舎から出て来た芋作副団長をマウンティングするけど言う事を聞かない【マンφ千代・著】
王との謁見への道〜狂犬に儀式とか無理だわ…躾って難しいと転生者イモダスは嘆く
王との謁見への道〜狂犬に儀式とか無理だわ…躾って難しいと転生者イモダスは嘆く
俺はイモダス…俗に言う転生者だ。
転生前はトップブリーダー…ではなく、何の魅力もない30手前の高卒フリーターだった。
ただ、暇すぎて、ちょうど仕事帰りの時刻が『犬の声、聞きます』みたいな番組と『世界の犬達』みたいな番組がやっている時間だったから無意味に詳しくなった。犬は好きだったが…
マジでそれだけ。何の勉強もしていない。
まぁテンプレ通りというか、疲れてママチャリ乗ってたら何か果物の皮的な何かを踏んで、滑って車道に飛び出してトラックにBAN…と言った感じの人生だ。
俺如きに運ちゃんはさぞ迷惑しただろう。
んで、記憶をぼんやり持ったままこの世界に転生したもんだから、前にちゃんと転生した仕事の出来る奴が残したこの世界の秘密が記してある本の意味が分かった。
転生した先が調教師の家系ってのもあるが、この世界の秘密…俺が生きていた世界の動物の本能がこの世界の住人にはあるらしい。
その本には本能に訴える調教術の仕方と、どのような心持ちで望むかと、この世界で言う所のスキル?で駆使するとどのような反応するかが網羅されていた。
俺は死ぬ前、タダだからという理由でネット小説を見て知っていた。この調教という技能…そのまんまの意味だった…要は魅了やんけ…転生してざまぁされるやつじゃんとショックを受けた。
ならこの技能に飲まれないように、この世界で生き抜く為に正しく使おうと思った。
結果…白狼騎士団の副団長になっていた…
いや、端折り過ぎた…とにかくハーシュがこんな極上の才能有りの権力者の娘とは知らず、ハーシュの母親が元々調教に学のある家系らしく、用事で俺の転生先の両親に会いに来るたびに、一緒に来るハーシュを幼少の頃から調教し続けてた。
何故なら始めての潜在犬種とやらがハーシュだったから。
『俺を敬え』『俺を従え』『俺はリーダー』
流石に犬専用の調教だからR18な調教は無い。
普通の犬なら、躾の出来た大人しい、可愛いワンちゃんになるはずだったんだよ…
まさかこんな完全な発情した狂犬の様になるとは知らなかった、知らなかったんだよ…
この世界では14だか15で成人らしいが、そんな時期に1〜2年程会わず、珍しくハーシュのお屋敷にに誘われ行ってみたが…
綺麗なブロンドの髪を靡かせて、誰もが羨むまさに上級貴族の令嬢様なハーシュがドレス姿で走ってきた。
「イモダスッ!イモダースッ!♥」
(良かった…俺の調教は悪影響を及ぼして無いみたいだ…ㇹッ)
とはいかなかった…
「イモレロっ!♥レロッレロレロレロ♥ハッハッハッ『パンッ!パンッ!』イモモロロロ♥レロレロ♥」
ショロロロロ〜
出会い頭から襲いかからんばかりの勢いで飛びつき、覆いかぶさると思ったら口に舌を捩じ込まれ、凄まじい勢いで腰を打ち付けられ(結構筋肉があるから凄い痛い) そのまま嬉ション(失禁)しやがった…
「娘さん、躾が全然出来てないじゃないですか…」
俺のボヤきにハーシュの母、シベリアーナ様が言った。
「イモダス、アンタ異世界の日本人でしょ?振る舞い見りゃ異世界人って一発で分かるわ。何故なら私も異世界人だから。と、言っても中東の羊飼いだったけどね。馬鹿にしないでよ?(ハーシュの躾は)アンタのせいよぉ?貴様がプレイバック戻しますしろ」
俺は、この人…絶対少し前の世代の日本人だろ…って思ったが、色々バレていたし、半分脅されたので逆らわない事にした。
何故ならシベリアーナ様は、この世界で相当な権力者の旦那の躾をした女傑なんだもんな。
躾というか…ひたすら盛りまくる旦那を去勢したのだ…鬼だな…
いつも仏の様な顔で少し後ろから見ている侯爵…哀れ…
そして…急にハーシュが騎士団に入るとか言い出したから頑張って!と送り出し、5日後、たった5日後に羊の世話をしていたらいきなりやってきて拉致された。理由は
『何していいか、わからんのですわ』
そして連れ回された5年間…
例えば辺境の地で会ったボルゾイーヌ…というかボルゾイって賢いかと思ったら馬鹿だし。
暗殺に来たチワワン…チワワっていうから臆病かと思ったら獰猛で殺意モリモリだし。
スラム街のボス・トサイーヌ…絶対言う事を聞かなそうな土佐犬がメチャクチャ従順だったり想定外ばかり起きる。
更に言えばこの潜在犬種族は殺し合いに関しては人間離れしているようで、馬に乗ろうが走ろうが、草を刈るように移動しながら殺していく。
そう…獣、魔獣、蛮族、敵国の兵士…関係無くあっさり殺す。
それを知った当たりからか…まぁリーダーと認められ無いと俺は速攻で死ぬんだろうなと観念した。
だったらいいだろう…と。こっちも死なないために全力で調教した。
そして調教しても愛情と忠誠という名前の狂った行動力の数値だけが爆上げしていく白狼騎士団…
とうとう味方にまで手を出し始める白狼騎士団…
『誰が群れのリーダー(副団長)に愛されてるか』
その結果団長含めた部隊長同士、群れで殺し合いを始めるデスゲーム的な騎士団が出来上がった。
リーダーは団長のハーシュですが?
興奮すると、まともと言われるトサイーヌですら味方を全裸で縛り上げて捕虜の中に入れる…
俺も軍師とか言われているが、ただ敵の本拠地に向かってゴー!というだけ。
ただ部隊同士、五の部隊長と団長が競争して本拠地を攻めてるだけ…
調教し、何かを皆殺し、身内でデスゲーム、そんな事繰り返しているだけ。それが白狼騎士団…
決して王様は俺達なんぞに謁見を許してはいけなかったと思う。
だが王様と王女、それに王子と姫は謁見したいと言う。俺は悪くない。
俺は悪くないと口に出して言ったらシベリアーナ様が『は?調教ミスは調教師の責任でしょ?』と厳しいお言葉…
そして俺は…白狼騎士団の副団長として王の間に臨んだ…
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