第二作 流転輪廻

擦り付けあった

架空の罪

決着をつけるなら

私自身が罪になる


ならば貴方の本心は

僅かでも上を

向けようか

私を憎しみ蔑んで

貴方は解放される


一つだけ私の願い

貴方の手で

私を裁いて

仕組んだ

仕掛けた

貴方の敵意を


胸を貫かれ

黒の水底へと


貴方の憎悪が

愛おしく

大事に抱いて

堕ちて逝く


憎んでくれて

ありがとう

愛していました

貴方に幸せを


堕ちた水底で

与えられた感覚は

人魚姫の血と歌声

「殺されたのなら生き返れ」


上を見た水面で

掴まれる感覚は

ライトグレーの手

「有りもしない罪で死ぬな」


やめてやめてやめて

私は逝きたいの

どうしてどうして

私を救わないで


ふたつの光は私を包む

「生きろ」

「生きろ」

「なぜ自分を」

「殺そうとする」


やめてやめてやめて

私に価値はない

どうしてどうして

私を見抜くの


ふたつの光に私は縋る

「助けて」

「助けて」

「本当は」

「死にたくない」


動かない喉で

歌声を飲み込み

動かない腕で

手を探り掴む


そうして私は

定まらない私は

歌声と手に

生を与えられる


歌声は感情へと

手は感情へと

全てに染み込み

罪は何処かへ

放免となれば


消えてしまえば

良いと思う

有りもしないのに

胸に植えられた

黒の想いは

静かに僅かに

溶けゆく

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