静かな夜

散歩に出かけたあと、家ではセリアが夕食の準備を終わらせソファーでくつろいでいた。

「エーデルくんにあなた、おかえり」

「おう、ただいま」

「ただいま帰りました」

エーデルは靴を揃えると、手を洗いに洗面所へ向かった。洗面所に行く途中、キッチンを見ると見たことの無い料理がずらりと並べられており、エーデルの腹を鳴らせた。

「さぁ、ご飯にしましょう。今日はエーデルくんの歓迎会ということで沢山作ったわよ。どんどん食べてね。」

エーデルは目の前に広げられたたくさんの料理たちに胸を躍らせた。しかしそれはカールも同じらしく、子供のようなキラキラとした目で料理を眺めていた。そんな姿を見てセリアはにこにこと笑った。

セリアの料理はとても美味しかった。初めてのものばかりで口に合うか不安だったが、セリアの料理はエーデルの胃袋を上手くつかんだのだった。食後にはセリア特製の大きなケーキが出て、3人はそのケーキもペロリと完食し満足そうに紅茶を飲んだ。

食事を済ませるとエーデルに強い眠気が押し寄せてきた。エーデルが大きなあくびをするとカールは笑って言った。

「眠たそうだな。今日は早く寝よう。明日もあるんだし、ゆっくり寝なさい。」

エーデルは小さく頷いた。

「おやすみなさい…。」

「あぁ、おやすみ。」

「おやすみなさい。ゆっくり休んでね。」

エーデルはベットに潜るとすぐに眠ってしまった。

カールとセリアはリビングで紅茶を飲んでいた。美味しい紅茶とは裏腹に2人には不安そうな顔が浮かんでいた。

「まさかカールの国が戦争になりそうだなんてな。戦争に巻き込まないために息子をこっちに預けてるんだから、本当に危ない状態なのだろう。」

「えぇ、だけどまだ始まったわけじゃないわ。カールが戦争嫌いなのはあなたが1番知ってるでしょう?」

「あぁ、もちろんだ。俺だって戦争はもうごめんだね。」

二人の間には少しの間沈黙が続いた。

「俺達も寝るか。明日はエーデルに飴細工のお店に連れてってあげる約束なんだ。」

ワクワクしながら言うカールを見てセリアはケタケタと笑って見せた。

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