2つの国
あるところに青い海に囲まれた小さな島があった。その島はほぼ中心で2つの国に分かれていた。そしてこの2つの国はとても仲が悪く、いつ戦争が始まってもおかしくないような状態だった。なぜ仲が悪かったか、それには昔にあった大きな戦争が関係ある。その戦争以前はひとつの国であり、とても自然豊かで平和な国あった。ところがその戦争で国民の考えの違いにより2つの派閥に分かれてしまった。そしてその派閥が過激化し、ついにはふたつの国へと分離してしまった。
その後、戦争は和解という形で終わったのだが、2つの国はもうひとつの国に戻ることはなかった。それどころか時間が経つにつれ、仲は悪くなる一方であり、2つの国は自慢であった美しい自然を切り崩し大量の兵器工場をつくっていった。兵器があるということはそれを使う兵士がいる。国はそれぞれより多くの兵士を育てるために徴兵令を出し、成人してから3年間の軍への入隊を強制した。
いつ戦争が始まってもいいよう、国はひたすら軍の強化に力を入れた。そうなると軍の力が徐々に強くなっていくのは言うまでもない。特に右側の国はその傾向が強く、軍のトップの男は国の王様の次に権力が強いほどであった。その男の名前はキラル・コットといった。コットは軍の司令部総長という肩書きをもち、軍全体をまとめると同時に兵器開発にも知識を持つというとても有能で軍内でも相当頭のキレる男であった。しかし権力が強いとはいえコットは部下に対して横暴に振る舞うような男ではなかった。逆に部下の人間性を見てしっかりと評価し、誰でも関係なく平等に扱うとても温厚で優しく、誰からでも人々から好かれる人であった。またコットにはルージュという婚約者がいて、2人は周りから見てもとても仲が良く、まさにおしどり夫婦であった。もちろんコットはルージュを大切にし、ルージュもコットのことを愛していた。
そんな夫婦の間に1人の男の子が産まれた。その小さな男の子がこの話の主人公である。
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