第36話

36


ニルス・ヤコブセン子爵の死はダン族の貴族たちに衝撃をもたらした。

「ヤコブセン子爵、病死にございます」

中央へはそう届け出されている。

世間的には、野盗に襲われて死亡したが、外聞を気にして病死にした。というように思わせている。

「家督は嫡男のヘンリック・ヤコブセンに相続ということで異存はありますでしょうか?」

という伺いを、中央評議会へ立て、家督相続を承認してもらう。

この辺は形式であって、中央に言おうが言うまいが家督は勝手に相続してもお咎めはない。

貴族の地位を継承するにあたり、評議会は爵位を贈る。

唯一の効果は爵位の贈与であるだろう。

ヘンリックには男爵位が贈られた。


評議会とは言っても、何かを評議するなどということは希であり、実質コヴァン家とその取り巻きの集まりだ。

主にコヴァン家の者に王位を継承させるのに「全会一致された」という名目を与えるだけのために存在する。

いわゆる出来レースというヤツである。


もちろんグリフィン家もこの評議会の一員である。

状況からみて、グリフィン家がニルスの暗殺に関わっているのは容易に推測できた。

証拠はないので、滅多なことは言えないのだが。


「このような横暴を許しておくことなどできませぬ」

ダン族の貴族たちは、いきり立った。

元々、武門から出発している一族のため、気性の荒い者が多いのだ。

「待て、ここでいきり立てば相手の思うつぼだぞ」

アナセン伯はとにかく一族を押さえるのに苦心した。

「仇を討つのは証拠を押さえてからだ」

「むむむ!」

ダン族の者たちは唸った。

「悔しいが、アナセン伯の言う通りだ」

「しかし、このままでは済まさぬぞ」

「うむ、機会を見てやり方を考えよう」

アナセン伯は言ったが、本音では報復など望んではいなかった。

そもそも一族の連中は普段は何も考えておらず、ひたすら地位にしがみついているだけのクセに、こういう時だけ張り切るのだ。

体面ばかりを気にする。

「まずはメルクへ戻り、アナスタシア様に報告し、それから今後の方策などについて伺いをたてよう」

アナセン伯は、そうまとめた。

ダン族にとってアナスタシアは指導者であり、信仰の対象だ。

これを拒否する者はいない。



「アナスタシア様、ヘンリックにございます」

ヘンリック・ヤコブセンはメルクの屋敷を訪れていた。

時々、父に連れられてメルクに来たことはある。

なので、アナスタシアと面識はあった。

16歳になったばかりで、ひょろっとしたもやしのような体格だ。

生活する上では何もする必要がないので、こうなるのだった。

貴族の子弟としては普通だ。


「久しいですね、ヘンリック」

アナスタシアは表情を変えない。

「あなたの父の後をしっかりと継いでゆくのですよ」

「はい、尽力いたします」

ヘンリックは頭を垂れた。

しかし、何をすればいいのか、どう尽力すればいいのか、分らない。

「ところで、ヘンリック。あなたを一人前の貴族とするためにアイディアがあるのですが…?」

「どういったアイディアでしょうか?」

「現在、フロストランドより技術交流の方々が来ておられます。その方々にあなたを預けようと思います」

「え、フロストランドですか!?」

ヘンリックは驚いた。

フロストランドといえば、ダン族の中では辺境・異郷の地、田舎者と言い換えてもいいくらいである。

シルリングの華やかな文化・流行を追うのがステイタスのダン族には、まったく魅力を感じない。

「武芸、技術、知識のすべてにおいて、彼女らは高い境地にあります」

アナスタシアは諭すように言うが、

「……お言葉ですが、アナスタシア様。ぼくにはそうは思えません」

ヘンリックの態度は否定的だ。

「中央で暮らすあなたにはそう感じるでしょう。しかし、私の言葉を疑うのですか?」

「そうは言いませんが…」

「ならば、まずは学んでみてはどうです?」

「はあ」

ヘンリックは折れた。

「アナスタシア様がそうまでおっしゃるのなら…」

渋々ではあるが、うなずいた。



「ヘンリック・ヤコブセンです、男爵位を賜っております」

ヘンリックは慇懃に挨拶した。


「トモエ・ゴゼンです」

「シズカ・ゴゼンだよ」

「パトラ・クレオです」

「フローラ・ニコルソンです」

「ジャンヌ・ダヤンだ」

「シャオヤン・ヤンだよ」

「ヴァルトルーデ・ワグナーだ、前に会ったことがあるな」

「ニョルズです」

「レッド・ニーです」

「ヘルッコ」

「イルッポ」


「「2人合わせて……」」


「そーいうお約束はいーっちゅうねん!」

静がツッコミを入れた。

「えっと…」

ヘンリックはなんと反応して良いのか分らず、言葉に詰まった。


「ヘンリックはもやしみたいだな」

巴はストレートに言った。

「は、はあ…?」

「もっと体を鍛えないと仇を討てないぞ!」

「いえ、ぼくは仇を討つ気は……」

「男がそんなんでどーすんだよ!」


バシ

バシ


背中を叩かれる。


「いたい……」

ヘンリックは呻いた。


それから、なぜか授業を受ける事になった。

文芸、歴史、算数、理科、武芸の五科目である。


「文芸は貴族のたしなみ。楽しく知的な会話をするには不可欠です」

フローラは柔らかい物腰である。


「歴史は過去の出来事を参考に適切な判断を導き、故人の生き方や精神を学ぶのに必要だ」

パトラが厳しい視線を送る。


「算数は物事を正確に識り、予測をするためにある」

「理科は事象を理解し、世の真理を識るためにある」

ヴァルトルーデが宣言した。


「武芸は理屈ではない」

「体で覚えろ」

「軍学の基礎だ」

「考えるな、感じろ」

巴、静、ジャンヌ、ヤンが言った。


「てゆーか、なにこれ?」

ヘンリックは首を傾げている。


文芸は見たことも聞いたこともない人物や文章ばかり。……まあ、完成度は高いが。

歴史ってこれ、どこの世界の出来事だよ? ……興味はあるが、なんというかファンタジー?

算数なんて薄汚い商売人のやることだろ。

理科? なんだこれ?

武芸とか貴族がやるもんじゃないだろ。下々の者に任せればいいんだ。


静たちの世界では偏見でしかないが、メルクでは普通の価値観だ。

ヘンリックは意義を見いだせず、彼女らの教えるところをほとんど身につけることができずにいた。

「体力はついてきた」

「文芸については悪くない感性です」

「歴史を覚える気がまるでない」

「算数も理科も素養がない」

静たちはアナスタシアへ報告した。

「ええ、そうなることは分ってます」

アナスタシアは笑顔を浮かべてうなずいた。

「諦めずに教えてください」


「ヘンリック、ちゃんと学んでいますか?」

一方で、アナスタシアはヘンリックを呼んで説教をかました。

「あなたの父は、フロストランドの技術を学ぼうと意欲に燃えていました。

 とりわけ鉄道に執心でして、いつかメルクにも鉄道を作りたいと常々言ってました」

「鉄道?」

「文字通り鉄の乗り物を鉄の道に走らせるものです」

不思議そうな顔をするヘンリックに、アナスタシアは説明した。

「あなたの父、ニルスがフロストランドで乗って以来、ご執心だったのです。

 もちろん、私も鉄道をメルクへ導入できればと思っています」

「へえ、そんなものがあるんですね」

ヘンリックは無感動だった。

「これからは、蒸気機関やその延長線にある技術を取り入れなければ、時代において行かれます。

 我々、メルクの者はフロストランドに大いに学ばなければなりません。

 きっとすぐに技術の有無が生き死にを分ける時が来ます」

「そんな大事が来るのでしょうか? ぼくにはそうとは思えないのですがね」

ヘンリックは既存の考え方しかできなかった。

「むーッ」

アナスタシアはむくれた。

「私の言うことが聞けないというのですか?!」

一通り話して聞かせれば改心すると思っていたのだが、一向に態度が変わらないヘンリックにしびれを切らしたのだった。

ようするに身勝手である。

最後は力関係でゴリ押しになるのも、アナスタシアの浅はかな所だ。

「いえ、そうは言ってません」

ヘンリックは額に汗を浮かべて弁明する。

「言葉だけでは説得力にかけますよね。

 ぼくのような凡人にはアナスタシア様の言わんとするところは見えてこないのですよ。

 せめてアナスタシア様がおっしゃることが証明できればいいのですがねぇ」

謙ってはいるが、言葉の節々に不満が現れている。

「……」

アナスタシアは黙った。

なにかしら考えているようだ。

(怒ってはいないようだな…)

ヘンリックは眼前にいる黒ずくめの女の様子を伺う。

貴族の生活では、相手の顔色を伺うのは必要不可欠である。

「では、フロストランドへ行ってきなさい」

アナスタシアは申し渡した。

「そうすれば私の言うことの一端は理解出るでしょう」

「え?」

ヘンリックは予想外の答えに驚いた。

「いや、そんな、辺境に行けとはあんまりでは…」

「黙りなさい」

アナスタシアはピシャリと言った。

「その辺境で大きな変化があり、我々の知識技術を遥かに凌駕する事態が起きているのです。

 これを学ばなければ、ダン族の未来はないものと思いなさい」

「はあ、わかりました」

ヘンリックは折れた。

こうなると逆らっても無駄なのは分っていた。

恐らく、アナセン伯爵へ手を回して何が何でも強行するに違いない。

(トホホ…)

ヘンリックは心の中でつぶやいた。



「魚醤だ」

クレアが言った。

海辺の工場を視察しに来た途中、倉の中にあった樽を開けていた。

魚の塩漬けを発酵させてできる液体である。

東南アジア諸国では普通に見られる。

日本にも「しょっつる」「いしる」「いかなご醤油」などの魚醤がある。

「んだ、魚ば食うのにいいんだべ」

案内していたアールヴが言った。

メロウという種族だ。

凍り付いた海の中に潜る能力を持っているアールヴだ。

見た目は肌色の毛のないヒトといった感じで、手足に水かきがある。

「これ、商品化できる?」

「へー、こんなもん売れるだか?」

クレアが言うと、メロウは不思議そうな顔をした。

しかし、頭の中では打算を弾いている様子だ。


「あ、これ、ブドゥみたいだ」

ヤスミンが樽の中の液体を舐めている。

「ブラチャンはないの?」

「なんだそれ?」

クレアが聞くと、

「小さいエビのペースト」

ヤスミンは答える。

マレーシアで見られる発酵食品だ。

「ああ、オキアミのペーストか」

クレアはうなずいた。

「なければ作ればいいんですよ」

マグダレナが眼鏡のフレームをクイッと持ち上げる。

「簡単にいうけど…って、まあそうかな」

クレアは言いかけて、掌を返した。

(ワクワク!)

ヤスミンの期待の籠もった目を見たからだった。


「魚醤じゃと?」

スネグーラチカは身震いしている。

「あ、嫌いなんだ」

クレアがプッと笑った。

「うるさい、あの臭いが苦手なんじゃ」

「それは分るけど、商品としてはいいと思うよ」

スネグーラチカは嫌がっているが、クレアは構わず言った。

「調味料は結構貴重だからね、海辺で作るから蒸気船で運ぶのも楽だし」

「ええい! 分った! じゃが、私は食べないぞ!?」

スネグーラチカは子供っぽく叫んだ。


「と言うわけで、魚醤とか蝦醤を商品化するよ」

「どっちもクセが強いものだねぇ」

アレクサンドラは眉をしかめている。

「まあ、古代ローマではガルムっていう魚醤を使ってたらしいですね」

マグダレナが適当な事をいっている。

「アンチョビはその名残ですし、ウスターソースやケチャップにも使われてるんですよね」

「いや、いらんからそういう雑学」

アレクサンドラがツッコミを入れた。

「胡椒の例もありますし、調味料を押さえるのは吉ですわ」

「そのせいで、大航海時代始まったんだろ」

クレアが言った。

「船も押さえてますから大丈夫」

「それなんだけど、外輪船だとやっぱり限界がある」

アレクサンドラが申し訳なさそうに言う。

「冬場は多分、海が凍り付いて動けなくなりそうなんだ」

「じゃあ、スクリュープロペラがいるんだな」

クレアが察して言った。

「うん、船の形も改良しないと」

「氷を割って進むようにしたいのか」

「そう」

アレクサンドラはうなずいた。

「でなきゃ、夏場しか航海できないからね」

「港が凍るのも問題だよな」

「うーん、早くヴァルトルーデに帰ってきてもらえないかなぁ」

「という訳で、雪姫様、メルクに伝えてください」

マグダレナがそう言って締めた。

「なんじゃ、最初からそれが言いたかったのかぇ」

スネグーラチカは口を尖らせた。



「分りました、ちょうどそちらへ人を派遣しようと思っていたところです」

アナスタシアは石に向かって話しかけている。

「ええ、よろしくお願いします」

アナスタシアは会話を終えると、皆のところへ向かった。

ベールを通して見る視界は少し暗いが、こうしないと彼女にとっては日光は眩しすぎるのだ。

「ボーグ」と一緒くたにまとめられているが、神々の末裔は様々な形態を持っている者たちの集まりだ。

信条も思想も能力も特性も異なる。

アナスタシアは日光は苦手だが、闇の中でも支障なく動ける。

日中も我慢さえすれば戦える。

数百年前は自ら前線に立って戦ったりしていた。


屋敷のホールへ行くと、皆、集まっていた。

ヘンリックを交えて雑談をしている。

「皆さん、フロストランドの雪姫様と話がまとまりました」

アナスタシアは言った。

「ヘンリックをよろしくお願いします」

「はあー、やはり行かねばならんのですか」

ヘンリックはシオシオと力なく崩れる。

「蒸気船があればすぐに着くから心配しない」

静がワハハと笑った。



準備なんか要らない。

と言うわけで、すぐに出立となった。


当初メルクが欲していたボイラー技術は、工房の親方であるピーターに伝授済みで、ついでに蒸気船は船大工の工房が受け継いでいる。

後は量産、改良、保全をしてゆく段階だ。

いったんフロストランドへ帰って、スクリュープロペラ、内燃機関の開発に取り組むことになるだろう。

ヴァルトルーデは頭の中で設計にいそしんだ。


ヘンリックは1人では生きられないので、身の回りのなどをする従者を連れて行くことになる。

モルテン、グンナー、イングリットの3人で、昔からヤコブセン卿に使えてきた従者だ。

全員、平民である。


「では、いってらっしゃい」

アナスタシアは素っ気なく別れの言葉を述べた。

「ははっ、行って参ります」

ヘンリックは慇懃に挨拶をして屋敷を出た。



蒸気船ワグナー号でフロストランドを目指す。

夏場は海が凍ることもなく、比較的穏やかなので問題はないだろう。

あるとすれば冬場だ。

ヴァルトルーデはアレクサンドラと同じように問題に気付いていた。

冬の凍り付いた海でも、氷を叩き割って進むパワーを持った船が必要だ。

船首形状を工夫し、より強い推進力を持つスクリュープロペラを使わなければならない。


エルムトまで来たら、ヘルッコとイルッポをビフレストまで送ってゆく。

その間、ワグナー号は休息。

「おお、トモエ殿!」

ビフレストへ着くと、ウンタモ・ホロパイネン男爵が出迎えた。

忙しいはずなのに、わざわざ出てくるところなど、巴に気があるようにしか見えない。

「ウンタモ殿、ヘルッコとイルッポのお二人をお貸し頂き、ありがとうございました」

「なんの、トモエ殿のためならお安い御用ですな」

ウンタモは会釈をした。

太っ腹なところを見せたいのだ。

「ところで、そこにおられる御仁は?」

ウンタモはめざとく、ヘンリックを見つけた。

身なりや装飾品からメルクの者だと気付いたのである。

「お初にお目にかかります、ホロパイネン卿。

 当方はヘンリック・ヤコブセンと申します。男爵位を頂いております」

「おお、メルクのヤコブセン卿であったか。知り会えて嬉しいですぞ」

「こちらこそ、今後ともよしなに」

貴族だけあって、この手のやり取りは手慣れたものらしい。

しばらく世間話をしていたが、

「うむ、実はトモエ殿に頼みがありましてな」

「はい、なんでしょう?」

巴は不思議そうに聞いた。

「私にも息子がおりまして。

 まあ、妻には先立たれてしまっておるのだが。

 その息子をトモエ殿に預けて鍛えてもらえぬかと思いましてな」

「え!?」

「もう13になろうというのに、武芸は並み以下、学問は平凡ときていまして。

 是非、トモエ殿に鍛え直して頂きたいのだ」

ウンタモは、いつになく意気込んでいる。

断るのは難しい雰囲気だ。


巴たちの世界の古代でもそうだが、この時代の人々は早々に結婚する場合が多い。

ウンタモは15歳で結婚して息子をもうけている。

巴はウンタモが30代後半くらいかと思っていたが、実際はまだ28歳である。


「あー、それはぁー、本国に聞いて見ないとぉー」

巴は驚いてしどろもどろになっている。

「いえ! 喜んでお受けいたしますわ!」

フローラが横から割り込んで、快諾した。

ここで変に話が流れてしまうと、ホロパイネン卿がへそを曲げかねない。

「ホッ! 良かった。では、よろしくお願いしますぞ!」

ウンタモは嬉しそうに言った。


で、ヘルッコとイルッポが従者としてついて行くことになった。

ウンタモの息子はヤンネと言った。

背が平均より低く、小柄である。

「坊ちゃん、喉は渇きませんだか?」

「大丈夫、ヘルッコは世話を焼きすぎるよ」

ヤンネはどちらかと言えば、自立心が強いタイプだった。

しかし、体力がないのでやりたいことを最後までやり遂げられず、捻くれてしまっている。

ある意味では分りやすい性格だ。

「水は喉が渇いてからでは遅いだよ」

イルッポが水筒を差し出す。

「いいってば!」

ヤンネは強情だった。


(うわー、めんどくさそう)

巴たちはそのやり取りを横目で見ながら、思った。

(どーしてこうなった…)

(てか、結局ヘルッコとイルッポはついてくんのな)

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