第6話 好きになりました
それから、僕は由利本さんに度々連絡をするようになった。マメに連絡する男がモテるということで、剛承さんに半強制的に促され、僕は行動を起こすようになったのだが・・・・。
確かにアニメでも連絡もしない、接点がないでは何のドラマも始まらない。自信がなかった僕に行動力が付いたのは意外に筋トレのおかげなのかもしれない。
僕が由利本さんに連絡をしたある日のこと、彼女の方からまたパソコンのことで分からないことがあるので見て頂けないかと相談を受ける。
僕は快く了承し、会う場所と日時を決める。二人きりで会うのはそう言えば初めてだなと僕は少し緊張してくる。冷静に考えればこれってデートだなとますます緊張感が高まり、僕はたまらず剛承さんに相談する。
「ほう、二人だけで会う約束にこぎつけたか?やるではないか、水鳥」
剛承さんは上機嫌で電話越しに僕を褒めてくれる。
「ええ、凄く嬉しいんですが、何か失敗して嫌われないか凄く恐いんです。どうしたらいいですか?剛承さん」
「私が貴様に教えた事を実践すれば、由利本は貴様を選ぶであろう。それだけだ」
「自信がないです・・・」
「やるか、やらないか、フラれるか、彼女になるか、ただ、それだけだ、以上」
「・・・・頑張って来ます・・・」
僕は覚悟を決めた。
そして、二人で会う当日となった。場所は前回、剛承さんと三人で会った同じ店で、ランチも食べようということで時刻は正午となった。
僕は時間に遅れてはいけないと思い、店に早い時刻に到着したのだが、由利本さんも同じことを考えていたらしく、二人で早めのランチを取ることになった。
僕は雑談はやはり苦手なので、早速、由利本さんがパソコンで分からないと言う所を見せてもらうことにした。
「ここは多分こうすれば上手く起動すると思うんですが・・・」
「あ、ホントだ。こうすれば良かったんですね。ありがとうございます。助かりました、水鳥さん」
「お役に立てて良かったです。僕はパソコンとかは得意な方なんですが、実はあまり初対面に近い人、特に女性と話すことが得意じゃないんです。その事で由利本さんにご迷惑かけるんじゃないか心配で・・・」
「いえ、そんな迷惑だなんて思わないですよ。私こそあつかましくパソコンのことで呼び出したりして、申し訳ないです」
「いえ、僕の方もそんなあつかましいとか思ってないです。むしろ、相談して頂けて嬉しかったので・・・」
僕は由利本さんのことを知りたかったし、自分のことを知って欲しいと思った。僕は彼女がどういうことが好きで何が嫌いか、何を生活の上で大切なことなのか等聞いた。
彼女も僕の人となりが知りたかったようで僕達は楽しく会話する事が出来た。
「今日は由利本さんと楽しいお話が出来て凄く良かったです。ありがとうございました」
「こちらこそ、またパソコンの事で助けて頂いたので
ありがとうございます。良かったら今度、お礼がしたいので、私のお気に入りのカフェに一緒に行かないですか?凄くケーキが美味しいんですよ」
「是非、行きたいです。じゃ、今度の日曜日とかどうですか?」
「その日は仕事が休みなので大丈夫です。その日にしましょう」
僕はまた、由利本さんに会えるんだなと凄く嬉しくなる。
あれ?こんな感情、久々だなと僕はふと思う。
僕はこの時、気付いた。僕は彼女に恋をしてしまったんだなと・・・・。
僕は不安になり、再び、剛承さんに電話する。
「そうか、由利本に惚れたか?」
「剛承さんは由利本さんの事、何とも思ってないんですか?あんな素敵な子なかなかいないので。もし、剛承さんがその気なら僕なんか相手にならないので」
「私にはすでに心に決めたパートナーがいる。それに私は浮気などもしない。なぜなら、私が憧れたアニメキャラが惚れた女を一途に愛し、命を懸けていたからだ」
僕はこの時、この人に一生付いて行こうと感動した。
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