第6話 ベッドの上

それからのライムは、まるで人格すらも無い、化け物になってしまっていた。


記憶すらなく、ただただ

脅える人らを襲っては食べていた。お腹が空くという感覚すらなく、



廊下に這いずり回るゴキブリさえも口の中に入れていた。





ライムにとっては、ゴキブリの

生きたまま食べることが

仕方なかった。



全ての感情を失い、最後に見た景色さえ忘れて、


ひたすら、噛みついては貪り食べていた。





『ピッ……ピッ……ピッ……。』




『ピッ……ピッ……』

かすかに、聞こえる。機械音。




『ん…………せんせ、……した!!!』


『うっ……。う~ん……。』




『うっ……ピッ……ピッ……。』





奇跡的な回復です!!!』



『アルフォート・ライムさん?』

『聞こえますか??』



『アルフォート・ライムさん!!』

『返事をして下さい!!』



『目を開けれますか!!?』









『ライムさん!!奥様みえてます!!!しっかり!!』



『サ……。サーシャ??』



声が上手く出ない。手も動かせない。僕は……確か?




実験を受けに向かって、、、?





頭が痛い!!!


ズキーーンズキーーン




心臓の鼓動が動くたびに、激しい頭痛がする。




確か?

僕は……?






額に……ヒンヤリとした冷たい手が優しくのせられる。



『あなた?!!よかったわ!!

ずっと、ずっと目が覚めるのを

待ってたのよ!!!』



僕を呼ぶ声は……



『あなたぁー。良かったわぁー』

額が、冷たくて気持ちいい。




暖かいモノが、

ポツリ、、、ポツリと落ちてくる。




(あぁ。ようやく……悪夢から

目覚めたんだ。そうか。サーシャに逢えたんだ。)




ゆっくり、僕は目を開けると


そこには、、、。





赤ちゃんを抱えたサーシャが

立っていた。



僕は……しゃがれ声で、妻に聞く。


『俺の子か??』





妻は、ずっと涙を流していた。

『もう、安心してくれな?』



妻、サーシャに……そう伝えると妻は溢れんばかりの幸せいっぱいな笑みを浮かべて



と笑っていた。





つづく

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