第25話 三河侵攻(1559) 修正版
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2024.6.8修正
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鳴海を出発した織田勢は刈谷城に立ち寄り水野信元と合流した。
その後開放された国境を越えて三河国に侵入した。
織田勢は東三河の要衝である安祥城を包囲したが、今川勢は抵抗せずに大手門を開いて降伏した。
「岡崎を放棄した事で戦意を消失したようです」
「救援の望みが断たれた事になるからね」
降伏した今川勢の将兵から聞き取りを行っていた明智光秀から報告を受けていた。
「入城した時に今川の兵士が口々に助かったと言っていたのが気になりますな」
「その事についてですが、一揆勢と松平勢は占拠した地域で略奪や根切りを行っていると捕虜が言っておりました」
「本当の話なら我々も相応の対応を取らなければならない」
当主信長の方針は占領地の民に対して寛大な対応を取るとしている。
一方で非人道的行為を行う勢力に対して一切容赦しないと定めている。
今川勢の話が本当なら一揆勢と松平勢には厳しい対応で臨む事になる。
「保俊、直ぐに調べてくれ」
「承知致しました」
「様子を見る為に安祥城に留まる。各々指示された地域の平定を行うように」
「「承知致しました」」
安祥城には信行の他に明智光安が留まり、その他は西三河に残っている敵の掃討を命じられた。
*****
「どうだった?」
「噂は本当でした。特に一揆勢が酷い有様で…」
保俊からの報告を信行は黙って聞いていたが、腸が煮えくり返る程の怒りを感じていた。
一揆勢は集落を制圧すると一向宗に帰依するか否かを尋ねて、男子が拒否すれば問答無用で殺害、女子が拒否すれば犯した上で殺害していた。
帰依すると答えた者も女子の場合は犯される場合もあり、口封じの為に殺害されて有耶無耶にされる事もあった。
「その話は本当なのか?」
「被害を受けた者が泣きながら訴えておりました」
「何という事だ」
「一揆をするのは悪政に抵抗する為だと理解しているが、この連中には大義が無い。ただ己の欲望を満たすが為に一揆を起こしている」
「一揆そのものは許せませんが、大義があるなら情状酌量の余地はあります。しかし…」
「この連中に情けを掛けるだけ無駄だ。掛けた方が後々恨みを買う事になる」
「確かに」
「光安、全軍に通達を出せ。一向宗と一揆勢は問答無用で処断しろと」
「根切りと解釈して宜しいでしょうか?」
「そう解釈して構わない。誰かに聞かれたら織田信行に命じられたと言えばよい」
「承知致しました」
「今回の件に関して全ての責は私が負う」
光安は穏便な方法で三河を統治するべきだと考えていたが、一向宗や一揆勢のやり口を聞いて信行に意見するのを止めた。
鬼畜以下の連中には相応の報いを与えるべきだとする信行の考えに同調した。
*****
岡崎の状況を調べていた保俊が安祥城に戻ってきた。
西三河の平定も粗方終わっていた事もあり、大半の者が同席する事になった。
先日の時と同じく冴えない表情をしていたのでその場に居た者は岡崎も酷い有様なのかと構えた。
「岡崎城は大給松平が占拠しております」
「数は?」
「千余りです」
「桜井や東条は?」
「支配権を巡り大給と揉めて城を追い出されました。それぞれ本拠地に戻り反攻体制を整えている最中です」
大給松平が総大将になり三家合同で岡崎を攻めたが鵜殿長照の姿はなく、空家同然だったので被害を受ける事なく占拠した。
三河の領地配分を三者で協議したが、調整役となるべき者が居ない事から案の定決裂した。
大給は数に物を言わせて桜井と東条を岡崎から追い払った。
仕置きを行わず権力抗争に終始していた事で岡崎の治安は悪化する一方だった。
「信元は桜井、勝家は東条を攻め潰せ」
「「承知致しました」」
「光秀、幡豆郡の吉良を攻めろ。松平と繋がっている噂が絶えないからな」
「降伏を願い出た場合は?」
「西条吉良が一向一揆に参加していた。降伏は認めない」
「承知致しました」
「松平の縁者を残せば後々厄介な事になるので容赦はしない。私は光安と共に岡崎を攻める」
安祥城は信元が預かる事になり、信行は自身の手勢を率いて光安と共に岡崎に向かった。
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