第15話〜贄〜
食堂でショゴスはワキガと話していた。
600zojiuの安いラーメン。俺は毎回とりあえずこれを頼んでいる。
ワキガ…いや、"ミ=ゴ"はいつものように骨とマスクを奥歯で砕きながら呟いた。
「最近、生きづらくねぇか?」
「うるせァ!俺に指図するな良!!??」
「いてて、コイツは参ったナァーゥ♡」
コイツは時々虚空に向かって話す。そしてコイツの耳の中から怨嗟と憎悪が聴こえるが恐らくそれは食事中だからだろう。
「おい、デブ。食事中は静かにしろよ」
「2!」
クソが。ムカつく。
こんな話がある。
昔の友達が今の友達と自分の知らない間に友達になっていた時、自分は何なのか。
答えなんかない。仁義も正義も思慮も。感謝も慈悲もねぇ。
1人は辛いね!爆笑!
俺だって立派なショゴスなのにね。
ナに!?
ァーゥ。くそぅ。そろそろ何ヶ月か経ったみたいだな。お腹を確認しますレ。
「ガス!」
声が聞こえる
ポコッポコッポコッ…
身体が痺れる
今日はどうすればいい?
空は生憎の曇天。それでも君は笑う。
"月が綺麗だ"
俺は何も出来ない。
無能?いや違う。
違うァーゥ違うァーゥ
結局の所答えなんかない。
真実も嘘もない。
世界にあるのはたった一つだけ。
試したいことが出来たな。
そんなことを考えているうちにガスは居なくなっていた。
繁茂した森に火が放たれる。
いやいいじゃん!爆笑!
俺は俺である。
そうだったのか!
気付きを得る。
確かめる。
「今日はフィールドワークにピッタリの天気だな」
生意気に空が涙を零す。こんなに晴れ晴れとしている空が。天気雨。今日だけはコイツに感謝している。
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既に食堂に人は居なくなっていた。
残っていたのは大量の血痕と噎せ返るような鉄の匂いだけ。
僕は、私は、俺は。
そう、呟いた。
「実験は成功だ!!!」
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