第6話甘い誘惑に浸らせる 

三者面談から数日後の休日のこと。

目覚めてすぐに朝支度を整えると朝食を取る。

里央に裏切られてから食べ物の味もあまりしない。

色彩感覚だけでなく味覚や嗅覚まで鈍ってしまったようなそんな最低な気分だった。

再会して変わらぬ彼女を目前に怒りを押し殺せた自分を褒めてやりたい。

そんな事を思考しながら朝食を終えると部屋の掃除をして時間を潰す。

時計が正午に差し掛かる頃に先日名刺先に連絡を送っておいた彼女から電話が届く。

「もしもし?今時間ある?」

相手はもちろん白河里央なのは言うまでもない。

「はい。ありますよ。ちょうど暇していたところです」

「良かった!これから少しドライブでも行かない?」

「喜んで」

「じゃあ駅前集合でいいかな?」

「はい。すぐに向かいます」

それだけ告げると電話を切って支度を整えた。

そのまま家を出ると駅まで歩いて向かうのであった。



駅のロータリーで彼女を待っていると赤い高級車が目の前で止まった。

「乗って」

その言葉に従って助手席に乗り込むとそのままドライブは始まった。

ドライブを始めてすぐに彼女は謝罪の言葉を口にした。

「あの頃はごめんね。私の浮気のせいで別れることになってしまって…。あの後は散々だったんだ。結婚した相手は私が妊娠中なのに毎日ギャンブルに行って、負けるとお酒を飲みまくって暴れたの…。私も何度も殴られたし恵だけは守ろうとお腹だけは必死で守ったけど…。私の一時の気の迷いで歳上の相手と関係を持ったのが間違いだった。本当に後悔してる。ごめんなさい」

その言葉を聞いて俺は何を思ったのだろうか。

(当たり前だろ。裏切った側に罰が待っていないのはおかしい。当然の報いを受けたんだ。だが俺はお前に何も復讐ができていない。それが歯痒い。だからここは善人ぶって弱みに付け込もう。そうして最終的に完全な復讐を果たすんだ!)

話を聞きながらそんな事を一気に思考していた。

何度も頷いて理解のあるふりをしながら。

「気にしていませんよ。高校生からずっと恋人で結婚するなんて現実的じゃないですよ。そのうち別れたり衝突したり。もしかしたら私が逆の立場になっていたかもしれません。たまたま里央さんが浮気をしたという事実だけが残ってしまっただけです。それなので里央さんも気に病まないでください」

微笑みながらその様に語りかけると彼女は安心したように笑った。

「変わらないね。昔からサイコくんは優しかったもんね。ありがとう」

それを耳にして俺は軽くほくそ笑んだ。

(コイツラ母娘は本当に優しくされるのに弱いな。楽勝すぎて笑えてくるぞ。このままもっと優しく甘やかしてやらなければ)

思考が定まると微笑みを崩さなかった。

「誰にでも優しいわけじゃないですよ。恵さんは母親に似て優秀ですし、里央さんは相変わらず美人ですからね。身体が勝手に特別優しくしてしまうだけです。不愉快でしたらやめますけど…?」

最後の言葉を少し遠慮がちに言うと彼女は必死な形相で首を左右に振った。

「やめないでっ…!もっと優しくされたいっ…!」

その言葉を聞いて内心ではほくそ笑んでいた。

車は海岸沿いを走っていくと周りには他に家のない一つの豪邸に入っていった。

「ここは?」

俺の言葉に彼女は妖しく微笑むと一言。

「別荘なの。今日は恵も新しく出来た友だちとお泊りに向かったから…ね?」

なんて甘えた表情を向けてきて計画は順調に進んでいた。

車をガレージに駐車するとそのまま別荘の中に入っていく。

「もうすぐ夏休みが来るでしょ?教師も夏休みってあるの?」

「そうですね。毎日出勤ではなくなりますね。私は部活の顧問もしていませんし当番の日や職員室に用がある時ぐらいしか出勤しないですね」

「じゃあ暇な時はここに来ない?」

「恵さんも一緒ですか?」

「いいえ。ふたりきりで」

そんな世間話を繰り返しながら二人でリビングに向かう。

彼女はキッチンに向かうと中身の入ったシャンパングラスを二つ持ってやってくる。

「まずは乾杯しましょ?」

それに頷くとそのままそれを口に運んだ。

「お昼は食べた?使用人に食料は用意させてあるから。冷蔵庫の中身は自由に食べていいわよ」

それに頷いていると彼女は、

「何か作ろうか?」

そう言って数十分掛けてパスタを二人前作ってテーブルに配膳した。

「食べながら飲みましょ?」

そんな他愛のない会話が続くと二人してシャンパンを空けてしまう。

そして彼女は最終的に俺に寄りかかってきて猫なで声を出す。

「再会できて嬉しいよぉ〜…。サイコくんと別れてから男運悪くてさぁ〜また優しくしてねぇ〜…」

などと言いながら俺の太もも辺りを撫でていた。

「どうしたんですか?酔ってます?」

「これぐらいじゃ酔わないよぉ〜」

「明らかに酔っていますよ」

「いいからぁ〜。このままぁ〜…いいでしょぉ〜…?」

その誘いに俺は乗っかり彼女を優しく抱きしめる。

「今まで辛かったですね。大丈夫ですよ。私が優しく守ってあげますから」

などと耳元で囁くとそのまま彼女をソファに押し倒して唇を奪う。

「あっ…んっ…」

彼女は男が喜ぶ甘い声を出して憎き相手であったとしてもやはり反応してしまう。

だがまだ復讐を果たすときではない。

(ここは優しく抱いて甘い関係に浸らせるのがベストだな)


ここから先は過激な描写だったため削除…。


そのまま昼間から夜まで何度も身体を重ねるのであった。



彼女の別荘で一泊すると次の日の昼頃に帰宅する。

帰宅して簡易な昼食を取るとそこからはしっかりと味がした。

(味覚が戻ったな…。よし次の計画に移行だ。次は恵のフォローに入らなければ。きっと里央の様子が変わるはずだ。恵も何か思うことがあるはずだろう。それをフォローして俺にだけ依存させよう)

そこまで思うと次の計画を綿密に考えるのであった。



第四目標完了。 100/100


恵の好感度、?/100

里央の好感度、384/100 限界突破 未だ上昇中


第五目標、恵を俺にだけ依存させる。 77/100

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る