第5話母親登場!
「それでは三者面談の日程表を配ります。親御さんには事前にお伝え下さい。親御さんの都合が悪い方は相談してください。日程をずらすなどをしてスケジュールを組み直します。以上です。では起立。礼」
そこまで話をすると退学者が多く出たクラスは少しだけ異様な雰囲気を醸し出していた。
「先生!ちょっといいですか?」
白河恵は俺のもとを訪れると少し砕けた態度で口を開いていく。
「うちの家庭は父親がいないんですけど…」
その言葉を耳にして俺は一瞬フリーズする。
(しまった…。それを確認するの忘れていた…。両親の有無を確認していないだなんて失態だな…)
そんな事を思考していると彼女は話を続けた。
「母は社長業で忙しくて…。この間、三者面談の話と先生に救われた話をしたら母が直接会いたいって言うんです…。先生の名前を告げたら急に顔色変えて…。何か知っていますか?」
その言葉を耳にして事実を口にしようか迷う。
(そもそも名字が変わっていない時点で気付けなかった俺も馬鹿だな…)
そんな事を思考しながら適当に口を開く。
「そうですね…。お母様は元同級生ですよ」
「だから私を救ってくれたんですか?」
彼女は少しだけ傷付いたような表情を浮かべていたが俺は安心させるために無理して笑顔を浮かべた。
「そんなわけ無いですよ。白河さんが優秀だったからです。優秀な人間が負けていくのを見るのは辛いものです。今みたいに勝ってくれて私も嬉しいんです。お母様のことは関係ないですよ」
その言葉を聞くと彼女は安心した表情を浮かべた。
「そうなんだ。良かった…。じゃあ、今度一緒に母と会ってくれる?」
「了解しました。では最終日の最後によろしくお願い致します」
彼女はそれに頷くと教室を後にした。
そして、三者面談を恙無く進行していくと最終日はあっという間にやってくる。
何故ならクラスには退学者が多かったからだ。
最終日の最後に恵と一緒に学校を後にすると高級なレストランで外食となった。
レストランでは里央が先に待っていて俺と恵は揃って席に向かった。
「お久しぶりです。恵さんの担任を務めています野村サイコです」
恵を少し大人にしたような見た目の仕事の出来そうな女性が白河恵の母親である。
「久しぶり。随分大人になったのね。娘から聞いたわ。いじめから守ってくれたんですってね。ありがとう。本当に助かったわ」
里央は深く頭を下げると感謝の言葉を送ってくる。
「いえいえ。大したことはしていませんよ。恵さんの精神力の強さ故に無事解決できた問題です。素晴らしい娘さんですよ」
などとお世辞で相手を褒めちぎるとそこから食事は始まっていった。
そして、しばらくすると里央は口を開く。
「娘は卒業後、うちの会社で働かせます。恵からの提案で私も渋々頷いたという形です」
「そうですか。進路が決まっているようなら私から口を挟むようなことはしません。恵さんも進路が変わり次第、私に相談してください」
その様に口を開くと恵はクスッと笑った。
「先生に恵さんって言われるのちょっと嬉しいかも…」
その言葉を耳にして何とも言えずに軽く微笑んだ。
「これも血ね…」
なんて里央が意味深な言葉を口にして俺は苦笑を浮かべた。
「何が?」
恵は里央に問いかけていて俺と里央は顔を見合わせた。
そして最終的に恵はその言葉を口にした。
「元カレなの」
「ん?誰が?」
「サイコくんが」
「え…。じゃあ私のお父さん…?」
それに対して俺たちは否定の言葉を口にする。
「それは決して違います」
俺は必死で口を開き彼女もそれに頷いた。
「そっか…。お父さんであって欲しかったようなそうでなくて良かったような…」
などと恵は口を開き俺は軽く苦笑する。
そのまま食事は一通り終わると里央は俺に名刺を差し出した。
「今度ゆっくり話がしたいわ。次はふたりきりでね?」
それに頷くと名刺を受け取る。
帰り道で恵が里央に対して不貞腐れた態度を取っていたのは言うまでもない。
(よしよし。計画も順調に進んでいるな…。油断せずに行こう…)
第三目標完了。100/100
第四目標、里央と身体の関係を持つ。 33/100
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。