第24話 聖夜
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年越しの話だけど、両親とも問題ないって~
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すぐにLINEの返信がきた。
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よかったぁ~!
じゃあ、二日間一緒にいれるね!超楽しみ!
なんか遊べるものとか用意しとくね!
ママも料理頑張るって!パパはマッサージしてだってさw
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全然、一緒にいれたらそれでいいから、特別用意とかしなくていいよ!
ご両親にはお礼と宜しくお願いしますって伝えててね。
もちろん当日も伝えるけどさ。
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珍しく嬉しいこと言ってくれるね!
りょうかい!伝えとく!
あと、ママが達也の連絡先を知っときたいってさ。
前の旅行の時に聞いとけばよかったって言ってたから
聞けば“いいよ”って言ってくれると思うよって伝えたら、聞いといてほしいって。
大丈夫だよね?
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指先の動きが重くなるのを感じると同時に、背筋が凍る。
断る余地がないことは頭で理解しているが、行動が伴わなかった。
気づくと乾いたコンタクトに視界が遮られていた。
“やってしまった”
寝ぼけ眼で携帯に視線を送る。
画面には緑色の帯がかかっていた。
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勝手なこと言ってごめんね、大丈夫じゃなかったかな?
やっぱ旅行のときに話したこと気にしてるよね......
無理しなくていいからね。
今日は寝るね!おやすみ。
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次の日の朝、たまたまキョウコと正門で鉢合わせた。
「昨日ごめん、気づいたら寝落ちしてた。全然連絡先を伝えてもらって大丈夫だから」
キョウコはあからさまに驚いてみせた。
「え、いいの?てっきり返信なかったから嫌なんだと思ってた。こないだ私が言ったこと気にしてるのかなって」
「ううん。単純に寝落ちしただけだし、ご両親と仲良くしてて悪いことなんてないしね」
望まれる回答を散々考えた結果だった。
「よかった。重たいって思われたかと思って心配しちゃった」
付き合う期間が長くなるにつれて、少しずつ負荷は感じていた。
キョウコの感情表現が以前にも増して豊かになり、且つ振れ幅が大きくなってきていることを感じていたからだ。
「そんなことないに決まってるじゃん!」
心に反した言葉をためらいもなく発する自分に怖さを感じた。
「よし、じゃあ年末まで頑張るね!達也も頑張って!」
いつものキョウコに戻っていた。
そうこうしている間にクリスマスを迎えた。
中学生あたりからクリスマスを待ち望むことはなくなった。
クリスマスがおもちゃ屋やケーキ屋の戦略だと感じてしまったからだ。
歳を取ることで少し考え方は変わり、年齢や時代、世代によって変わるものだと思うようになった。
中学生まではサンタの有無やプレゼントを楽しむ。
高校生からは親がサンタであることを理解し、親との駆け引きが始まる。
大学生になると友人や恋人と時間を共にするための口実になる。
社会人になると恋人や家族、こどものことを考えて25日が近づかないことを願う。
こんなことをいうと信仰の深い方々から反感をくらうかもしれない。
が、俺の中ではそんなセグメンテーションだ。
「店はどこも一杯でさ、アレクの家ですることになったわ!」
アレクはゼミで一緒になったクラスメイトで、お父さんがバングラデシュのハーフだった。
実習で目の色が違うことでカラーコンタクトじゃないかと指摘された際に
「自眼です」
と答えた頃から仲良くなっていた。
アルバイトとしてバーで働いていたこともあり、自宅にリキュールも沢山あるため、タケシと秘密基地のような感覚でよく集まっていた。
「誰が来ることになった?」
結局、日付だけ聞いてそのままだったことを思い出した。
「え~っと、俺、達也、アレク、リコ、マヤ、しずくかな」
「しずくって誰だっけ?」
ゼミも必要なところしか参加していなかったため、交流が少ない人をあまり覚えていなかった。
「実はアレクが気になってる子みたいでさ。しずくの名前があったから家を許可してくれたようなもんなんだ」
「へぇ~」
つくづく他人に興味がないことを自覚した。
「もう少し興味持てよ」
笑いながら呆れていた。
「とりあえず、18時にアレクの家集合で。他の子は集合場所から案内するわ。プレゼント忘れるなよ」
プレゼント交換をするらしく、一人3000円以内のものを用意していく必要があった。
キョウコに協力してもらい、予算内で用意できるアロマセットを準備していた。
早く着いたため、アレクと部屋の用意をしていた。
「達也、しずくのことどう思う?」
正直全く印象になかったが、アレクが欲しそうな回答を考えた。
「外見も可愛いし、周りに気も遣えて面白いし、すごくいい子だと思う」
最近、自分が怖くなることが多い。
「良かった。達也あんまり人に気を遣うタイプじゃないからさ」
“うん、なんかごめん”
「今日何かするの?」
言葉に詰まって咄嗟に出た質問だった。
「実はしずくは同じマンションなんだ。だから皆が出た後に告白しようと思ってて…」
「そうなんだ!それは緊張だな」
まさかそんな大事な会に呼ばれているとは思っていなかった。
同時に、アレクに心配されるような言動は控えようと勝手に誓った。
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