第13話 壱害
達也がカスミと別れた次の日ぐらいから
ほぼ毎日変なメールが来るんだ。
心配かけたくなかったし、言わなかったけど…
内容は子供みたいな内容ばっかだし、気にしてなーい。
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ゴメン。多分俺のせい。
ちなみに内容ってどんな内容?
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単純なやつだと「死ね」が一杯並んでるとか
「雌豚」とか「殺す」とかそんな感じかな。
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マジか。
ごめん。今も続いてる?
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毎日くるよー
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そっか。
俺カスミと話すわ。
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ううん。今のタイミングで話すのはやめて。
せっかく付き合ったところなのに、何を言われるかも
分からないから。
私が我慢すればいいだけだし。
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でも…
これ以上ひどくなるならさすがに話す。
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うん。本当に大丈夫だから!
とりあえず次のデートの計画立てよっ!
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キョウコに対する申し訳なさで押し潰されそうだった。
理解できないことに対する困惑と同時にカスミに対する怒りが込み上げてきた。
俺が悪いのはわかっていたけど、第三者まで使って嫌がらせをするなんて…
次の日タケシに相談した。
「マジか。もう被害受けてたんだな」
「らしい…ずっと続いてるみたいでさ」
「俺も少し探ってみるわ」
「ありがとう。ただエスカレートすることだけは避けたいからあんまり無理しなくて大丈夫」
「分かってる。相手のアドレスとかもわかってるんだろ?キョウコから聞いといて」
「分かった」
その場でキョウコに確認し、嫌がらせの相手のアドレスをタケシに教えた。
「また何か分かったりしたら言うわ」
「うん。ありがとう」
内容が内容だけにタケシ以外には伝えなかった。
昼休み中、ある女子グループの会話が聞こえてきた。
「キョウコちゃんがカスミちゃんの彼氏を寝取ったんだってさ」
「そうなの!?そんな感じには見えないのにね」
「あぁいう子のほうが中身は…っていうじゃん」
「たしかにね~」
事実無根だが、この場で変に否定する方が色々と面倒なことになりそうだったので、聞こえていないフリをした。
「達也、大丈夫か」
隣のタケシが気を遣って声をかけてきた。
「全然大丈夫。逆に話したことで気を遣わせてごめん」
「全然。ただ、根も葉もない噂が女子の中で流れてるっぽいな」
「うん。学校内の女子が噂してるってことはカスミ本人が悪く広めているか、周りが勝手に想像してるかのどっちかだよな」
「そのことなんだけどさ、俺も何人かグループワーク繋がりで連絡先を知ってる子がいたから聞いてみたんだよ」
「そうなんだ。何て言ってた?」
「カスミから聞いたってさ。でもマヤとかは何も聞いてないらしくて、多分同じグループの子には何も話してなくて、いつも一緒にいないグループの子たちに話してるっぽい」
「そういうことか。同じグループにキョウコが戻ることは無いし、そこに嘘つく必要もないしな」
「たしかにな。でもどうする?達也が他の子に違うって言っても聞き入れないだろうし、よけいに関係も悪くなるよな。俺から訂正しておこうか?」
「いや、大丈夫。周りの子は時間が解決するだろうし、多分放っておいても問題ない。それよりもカスミ自身とカスミの地元の友達とかいう子をどうにかしないと」
「そうだよな。俺にできることがあったら何でも言ってくれ」
「ありがとう」
キョウコから止められている以上、どうすることもできない状況だった。
帰りにキョウコと合流し、メールを見せてもらった。
最初の二通は妄想とも思えるようなキョウコを罵倒する内容から始まっていた。
あまりにも事実と異なる内容ばかりが並び、唖然とした。
文章の最後は「別れろ」という言葉で締められていた。
三通目あたりからは
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死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
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といった単語の羅列のみの内容だった。
「毎日これ送るとか相当ヒマだよね」
キョウコは笑顔で言った。
表情ですぐに空元気であることは分かった。
「俺やっぱりカスミに話すわ」
許せなかった。
「いいって。どうせ時間が経ったら全部やめるだろうし」
珍しくキョウコの口調は強かった。
少し震えているようにも見えた。
「カスミに話さなかったらいいってことだよな?」
「そうだけど、エスカレートされることが怖い…」
「わかった。カスミに話す以外の方法で少し考えるわ」
「何もできなくても大丈夫だからね。気にしないで」
俺の中で一つの選択肢があった。
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