第4話 渦動
京都の木々も寂しくなり、寒露が光を放つ頃、初めてダンスサークル以外のサークル活動の誘いがあった。
カスミと一緒に加入したバスケサークルだった。
「サークル入ってから1回目の活動が今とか、本当に活動少ないよね」
カスミは頬を膨らませながら皮肉を言っている。
「たしかに」
ダンスサークルであんなことがあったせいで、あまり気乗りしなかった。
「リコとマヤもバスケサークルに入ってるんだって!」
カスミがいつも一緒にいるグループの子たちだ。
リコはどこかカスミと似た雰囲気はあるが、話すと男っぽくて、授業でも男子に食ってかかっている場面をよく見ていた。元々バスケで県大会に出るなど、スポーツ万能だと前にカスミが話していたことを思い出した。
マヤは常にマイペースでおっとりしていて、グループには居るが、特に固執しているわけでもなく、少し異色な存在だった。髪も常にパーマがかかっていて、服装も相まって、魔女のように見える子だった。どう見てもスポーツができるタイプではなかった。
「そうなんだ。みんなと一緒ならカスミも楽しめそうだね」
キョウコの名前が出なかったことに安堵していた。
授業も終わりに近づいた頃、メールが届いた。
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件名:本日の活動内容について
バスケサークルの皆さんへ
先日連絡した本日のサークル活動についてです。
18:30~ 第一中学体育館にて試合
21:00~ 懇親会
<持ち物>動きやすい服装、体育館で使用できる靴
<準備>バスケサークルへの熱意
です!
みなさん今日は楽しんでいきましょう!
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いかにも大学のサークルの連絡といった内容のメールだった。
カスミはリコたちと一緒に行くと話していた。
俺は運動不足だったこともあり、少し早めに体育館へ向かった。
久しぶりに運動するときには怪我をするというジンクスがあったので、しっかりと準備運動をしておきたかった。
数名の見慣れない先輩たちが既に到着していた。
不愛想だと思われないよう、簡単に挨拶をして、端っこで準備運動を始めた。
“体もだいぶ固くなったな”
元高校球児とは思えない自分の体の轢音に衰えを感じていたとき、
「達也バスケサークルも入ってたんだ!」
せっかくのストレッチが無駄になった。
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