第11話 誰かと誰かの話

「ベルンハルトの婚約者選びはどうなった? 見た目が好みだからって理由だけで、エルヴィーラを婚約者に選ぶんだよね。それで後から好きな人ができたからって破棄するとかさ、私そういうの好きじゃないから」


「そうですね。相手の方に失礼だと思います」


「だよねー。それで、妨害は上手くいった?」


「エルヴィーラ嬢は目立たない席でずっとお菓子を食べていましたし、婚約者は在学中に親交を深めてから決めると通達されました」


「えーー。ベルンハルトルートのライバルはエルヴィーラだよ。どうしたんだろう? エルヴィーラはベルンハルトのこと好きなはずなのに。作戦?」


「作戦とは思えませんね。全く興味が無さそうでした。以前お伺いした事前の根回しも、父親であるノルン卿だけが積極的に動いていました」


「えーー。転生者がいるパターンかな? どんなお茶会だった?」


「テンセイシャ?」


「私みたいに未来を知っている人が、他にもいるかもってこと」


「なるほど。お茶会には公爵家のルイーゼ嬢もいましたが、実質は侯爵家イザベラ嬢と伯爵家スーリヤ嬢の一騎打ち状態でしたね」


「えっ? ルイーゼ?」


「ルイーゼ嬢は殿下の婚約者候補ではなかったのですか」


「ルイーゼはヴェルナー様と婚約の約束をしているはずだったんだけど」


「噂でも聞いたことがないですね」


「そうなの? 二人が婚約の約束をしているから、ヴェルナー様ルートのライバルはルイーゼになるはずだったんだけど」


「ルイーゼ嬢は殿下にアピールしていたので、それはないかと」


「ルイーゼが婚約者候補になっているのなら、転生者はノルン侯爵家の関係者か、公爵家の関係者かなぁ」


「……」


「どこかに私と同じようなことを考えている人がいる可能性が高いな……。エルヴィーラもヴェルナー様も可哀想だもんな」

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