第7話 理解者
「ありがとう。あ、拓馬くんって実は有名だよね。成績の掲示板の1番上にいるのよく見るよ。昔から成績優秀だって聞いて納得しちゃった」
「……どうも」
正直、ゆりの知り合いでも俺からしたら初めましてだ。
あまり初対面で成績の話をされるのは好きじゃない。
「不躾でごめん! 」
悪い人じゃないんだろうなとは思う。
「……で? ただ挨拶だけしたいわけじゃないですよね? 『聞いてきた』って話は伺ってます」
「うん、話が早くて助かるよ。面倒を嫌うって聞いてたけどすぐに切り出したら胡散臭い感じがして」
既に胡散臭い。ゆりを気に入る男は大体俺を嫌煙するし、引き離そうとする。
まぁ、俺は別に構わないけどゆりが嫌がってソイツとは終わるパターンしかなかった。
「順序立てたい気持ちはわかります。初対面だからどうしたってそうなりますよ」
「確かにそうだね。本題なんだけど……」
琉生さんの笑みが深くなる。
「ゆりちゃんはわかっているようで根本的なとこは分かってない感じがした。……単刀直入に言うと、『君こそ共依存相手』だと思ったんだ」
息を飲む。
「……何言ってるんですか。俺はどちらかと言えば、『共闘』仲間みたいなもんですよ。専ら助けてるのは俺ですけど」
「物は言いようだね。『共有』している時点で『共依存』だよ。……拓馬くん、君は認めたくないだけ」
この人嫌だなぁ、でも嫌いじゃない。
考え方が近過ぎて同族嫌悪しそうなくらい好きだわ。
「……共依存って干渉しないんじゃないんですか」
取り繕ってももう意味が無い。
「……君はわかってるでしょ」
切なそうに笑う。
「『共依存』にしないとアイツをつなぎ止めて置けないって思ってます? 」
「うん、怖いんだ……」
琉生さんは、本気でゆりが好きなんだとわかる。けど、ゆりはそれを望まない。
ゆりは───恋愛したいと思っていないから。
今までの違和感はこれだった。
求められたことに応える自分が好きなんだ。
「俺は幼馴染がいいんで2人の関係がどうなろうとどうでもいいですよ」
彼は一瞬目を丸くして、はにかんだように笑った。
「拓馬くんって不思議な人だね……」
「変わり者って意味ならお互い様じゃないですか」
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