第6話 共依存の見解

今日日の恋愛は共依存と同意義語としてマーブルチョコのように混ざりあっている。

根本的には違うものだった両者。

どちらもお互いを必要とするが、そもそもののベクトルが違う。

『必要』という文字がおなじというだけでおなじものと認識してしまう。

若者用語の大体の大元がこれだ。

最近、喧嘩をしないしたくない恋愛をしているヤツが多い。

まぁ、笑って仲良くしたい気持ちはわかるけどそれだけだと欺瞞も募るだろ。

恋愛とはお互いを理解するために腹を割って話したり、時に喧嘩するもののはずだ。

それをしない方が泣くことになるのにな。

何も説明を必要とせずに寄り添うものが本来の共依存だったような気がするから、ゆりの考えはあながち間違ってない。

今の共依存はお互いの幸せを願う代わりに干渉してない的な意味合いになっていなかったか。

それでは物足りなくなったヤツを『かまってちゃん』という承認欲求者として扱っていたはずだよな。

だけど共依存って境界線があって、”共”依存というバランスが崩れてしまうこともあるんだよな。


「あの……チカフジタクマくん? 」


一限分まるっと講義がなかったから待機がてらテラスでぼけーっと六法全書片手にコーヒーを飲んでいた俺の頭上から声がした。


「? はい? 」


顔を上げると、ゆりが琉生と呼んでいるヤツだった。


「ああ! よかった! 1度2人で話してみたかったんだけどゆりちゃんが中々許してくれないから隠れてきてるので内緒にしてね」


琉生は3回生で1つ先輩だった。

違う……か、確かにすげぇ嬉しそうに俺の事見てるわ。


「ゆりが琉生くんって言うからおないかなって思ってたんですが、先輩だったんですね」

「ああ、それ。僕がお願いしたんだよ。あんまり先輩って言われるの好きじゃないから。拓馬くんもすぐじゃなくていいから、琉生って呼んで欲しいな」


ニコニコしている。


「あー、分かりました」


この人、変わってんな。

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