第5話 恋愛相手と共依存相手

琉生るいくんがね、たっくんのこと聞いてきたんだ」


世間一般からしたら男女を超えた友人関係なんて否定されるだろう。

そんな中、中学・高校・大学に至るまで幾度となく告白され、断ることなく付き合い続ける幼馴染を時の流れと共に見させられた。

時に巻き込まれながら───。

悪戯をする子どものようであり、中性の淡白さもある、だけど見た目のような儚さも感じる。

唯一無二の存在でありながら隣にいるのが当たり前だった。

そこまで考えて俺は思考を停めた。

これではまるで───。


「だから言ったろ。おまえの別れる原因俺にするのそろそろやめろ、迷惑しかない」

「ずっと一緒にいたのに全部彼氏にシフトしますなんて出来ないししたくない」

「一緒にいるだけで浮気だって喧嘩売られるこっちの身にもなってみろ」


変わらないと思っていたゆり。

大学に入る頃にはパッタリ受けなくなっていた。

だけど1年くらいして、知らない男といるのを初めて見た。

講義を全ておなじにしているわけではないから気にならなかった、珍しいな程度で。

───それが『琉生』だった。


「んー。その辺大丈夫なの。だって琉生くんとはだし。だから何だろ、ちょっと違うっぽい? 」

「……は? え? 」


一瞬、訳が分からず変な声が出た。

……どうしてそうなった?


「ふっふっふー。たっくんの疑問に応えよう。別にヤンデレに目覚めたとかはないから」

「目覚めたら逃げとくわ」

「あはははは! あれだよ、恋愛から共依存にシフトしたのは価値観の問題に気がついたの。たっくんに喧嘩売ってきたヤツらみぃんな、自分の欲求しばかりでこちらの要求なんて聞いてくれなかった」

「いや、おまえのは『俺といつも通り』ってことだから通りにくい」

「それ以外もあったの! だから、求め合わなくてお互いを尊重出来る軽い共依存に行き着いたの」

「軽いっておまえ、メンタル関わって来るから難しいんだぞ」

「わかってるってばぁ」


行き着いたのは別にいい。

……何か引っ掛かってならない。


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