第9話

十月十二日(水)


 彼女の身体の痣が日に日に酷くなる


 彼女の机に虫の死骸が入れられていた


 彼女の教科書には攻撃的な言葉が、沢山書かれていた。


 私は唱えた

 悪意が私を飲み込まないように



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 十月十三日(木)


 彼女が男の人と写った写真が黒板に貼られていた。


 彼女は生徒達から「いんばい」「びっち」と呼ばれるようになっていった。


 彼女のスカートは帰る頃にはボロボロに切り刻まれ下着が丸見えになっていった


 私は唱えた

 悪意が消えるように



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 十月十四日(金)


 彼女の給食は中園さんによって床にぶちまけられた


 彼女は犬のようにそれを食していた。


 彼女はクラスメイトの前で下着姿にされていた


 私は唱えた

 平和な世界を夢見る子供のように


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 十月十五日(土)


 クラスのグループLINEに彼女の全裸写真が送られてきた


 彼女は「私を評価してください」と文字をつづけた


 LINEには悪意ある言葉が並んでいた。


 私は唱えた

 この悪夢がいつか覚めますように



 ______________

 十月十六日(日)


 彼女からまた、グループLINEが来た


 今度は動画だった。



「私の恥ずかしい姿を見てください」

 とだけ書かれていた。


 

 再生する気にならなかったが、男子たちのLINEで大方の想像はついた。




 私は淡々と唱えた

 悪意さえ持たなければ上手くいくと信じてたのに


 ______________

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