17.ありすぎて困るくらいですよ
朝の6時過ぎ頃だった。インターフォンが鳴らされた。
早く就寝したこともあり、私は既に目覚めていた。応じてみると、またもや警官であった。
朝方、ゴミ捨て場に置かれたゴミ袋――その時には私以外の人々もゴミを出していた――の1つが、赤い液体で満たされている。もしかしたらそれは血で、何かの事件かもしれない。そういった通報が入ったらしい。
「それで、なぜ私のところへ……? 」私は訊ねた。
「お宅さん、昨日も通報されたでしょ」警官は面倒くさそうに言った。
どうも、1度警察から睨まれた人間は、事件が起きる度に疑われるらしい。
もちろん、身に覚えはない。部屋の中を確認しますかと、私は訊いた。警官はまたもや面倒な様子で、いいえ結構です、と答えた。
私は警官と一緒にゴミ捨て場を見に行った。ゴミ袋が大量に積まれているものの、赤い液体で満ちたゴミ袋など見当たらない。
「問題のゴミ袋はどうしたんですか」
「私が来た時には、赤い液体が入ったゴミ袋なんてありませんでしたよ。ジョギング中の人が通報したんですけどね。朝早いし、寝ぼけて見間違えたんじゃないですか。まぁ、通報されたからには、これから色々と調べなきゃならないんですけど」
「こういうの、よくあるんですか」
「ありすぎて困るくらいですよ」
警官はうんざりとした口吻で語った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます