17.ありすぎて困るくらいですよ

 朝の6時過ぎ頃だった。インターフォンが鳴らされた。

 早く就寝したこともあり、私は既に目覚めていた。応じてみると、またもや警官であった。

 朝方、ゴミ捨て場に置かれたゴミ袋――その時には私以外の人々もゴミを出していた――の1つが、赤い液体で満たされている。もしかしたらそれは血で、何かの事件かもしれない。そういった通報が入ったらしい。

「それで、なぜ私のところへ……? 」私は訊ねた。

「お宅さん、昨日も通報されたでしょ」警官は面倒くさそうに言った。

 どうも、1度警察から睨まれた人間は、事件が起きる度に疑われるらしい。

 もちろん、身に覚えはない。部屋の中を確認しますかと、私は訊いた。警官はまたもや面倒な様子で、いいえ結構です、と答えた。

 私は警官と一緒にゴミ捨て場を見に行った。ゴミ袋が大量に積まれているものの、赤い液体で満ちたゴミ袋など見当たらない。

「問題のゴミ袋はどうしたんですか」

「私が来た時には、赤い液体が入ったゴミ袋なんてありませんでしたよ。ジョギング中の人が通報したんですけどね。朝早いし、寝ぼけて見間違えたんじゃないですか。まぁ、通報されたからには、これから色々と調べなきゃならないんですけど」

「こういうの、よくあるんですか」

「ありすぎて困るくらいですよ」

 警官はうんざりとした口吻で語った。

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