光井戸の世界

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 夜の世界では、光井戸は貴重な存在。


 数が限られているから。


 いつも大行列。


 何時間もかけて、何百人も並んでやっと。


 井戸から光をくみ上げることができる。





 そんな光は地底からぽわっと湧き出る。


 ぽわぽわっ、と規則正しく。


 そんな湧き出た光は、放置していると、ぽわっと小さい光の粒がはなれて、本体が小さくなってしまうから。


 専用の光保護桶に入れておかなければいけない。


 しかし桶は特別性。


 とっても高いから、各家庭に一個しかないところが多かった。


 だから、


 その世界の住民たちは、いつか光に不便しなくなるように、と願っている。


 ぽわぽわ湧き出る光を見つめながら、感謝を忘れないながらも。


 それはそれとして便利になりたいとも思っている。






 いまあるものに感謝しなさい。


 夜の世界の王様はそういうけれど。


 感謝しただけで満足していたら、永遠にこの生活はよくならないと。


 みんな思っていたから。


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光井戸の世界 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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