2章 異世界転生とキャラクターメイク

第10話 異世界転移?

譲は気づいたら白い床の白いテーブルの前に白い椅子に座っていた。目の前には青いロングヘアの丸ふちメガネの十代後半くらいの女性がニコニコ顔で譲を見つめていた。


さっきまで加須寺(かすてら)街の台復(だいふく)4丁目の交差点にいたはずだが…?ここは何処だ?と記憶を探るがいっこうに思い出せないで悩んでいると目の前の女性が口を開いた。


「上野ウメさん。おめでとうございます、天寿を全うしこれから我らが創造神、グロリアーナ様が作られた世界”マナウェルス”に転生が出来ます。生前沢山の善い行いを積まれたので来世では今まで以上に豊かな生涯を過ごせます。出来る限りで良いのであなたの優しさをマナウェルスの人々に分け与えていただけると嬉しいで…す? あれっ?…上野…ウメさん?ですよねぇ?」


譲の前にで長々と説明をしていた女性は漸く自分が話している相手が想定していた相手とは異なるとことに気づき漫画の様な汗を額から流していた。


「ようやく気付いたか…俺はウエノ…ウメ?じゃない。八千代譲(やちよじょう)だ。大丈夫か?異世界とか、創造神とかラノベのテンプレートの様な内容を話していたが?俺もこう見えて暇じゃないから早めに目覚めさせてくれないかな?…えっと名前なんだっけ?」


「は、はい、私は転生をつかさどる転生神 リンアーナです。少し前に母である創造神グロリアーナ様に作られました、宜しくお願い致します…あのー、つかぬ事をお伺いしたしますが、あなた様はどちら様でしょうか?」


「えーっと、さっきの自己紹介を聞いていなかったのか?俺は八千代譲(やちよじょう)だ、年齢は25歳、男、独身、サラリーマンだ。何度も言わせないでくれ混乱している思考を何とか抑えて目覚めようとしているのに…あーっ、リンアーナだっけ面倒だからちょっと殴ってくれないか?その衝撃で起きれる様に頑張るからさ」


譲はそう言ってテーブルに両手をついて右頬を殴りやすいようにリンアーナの方に近づけた。リンアーナは、譲の提案に少し取り乱していたが左手で思いっきり右頬を叩いた。ガンと言う衝撃が右頬に響き少し後から痛みが伝わって来た、それに合わせ譲は意識を集中し現実世界で寝ているであろう自分を覚醒する様に意識を集中させた。


「…駄目だ、起きれない。これが現実か?」


「ヤチヨさん…本当にすみません。設定が転移の瞬間ウエノさんからヤチヨさんに移ってしまったようです…原因は現在不明です」


「…『移ってしまったようです』って…まぁ良いです。間違いだったのだから戻してもらえるんですよね?まさか、出来ないなんて言わないですよね?転移を司る神様なんですから」


「ご、ごめんなさい。本当にごめんなさい…お戻しする事は出来ません」


「はぁ?」

 普段は温厚な譲もさすがにこの返答には怒りが爆発した。思わず机を両手でたたき立ち上がってしまった。


「ひぃ…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


「おっと…ごめん…つい…。よし、お互い落ち着いて話をしよう。まず状況の説明をおねがいします。いや面倒だな、お互い敬語はやめようか?それとも、神様には敬語じゃないと不敬になる、いやなりますか?」


「は、はい。敬語じゃなくて大丈夫です。巻き込んでしまったのは私なので…

 改めて、私はマナウェルスの転生を司る女神でリンアーナです。巻き込んでしまってごめんなさい、本当はウエノウメさんがあの場所で天寿を全うされこのマナウェルスの転生をしていただくはずでした。


 しかし、転生を実行しようとして魔法陣が展開された時にヤチヨさんが倒れたウエノさんを助けるために魔法陣に入りヤチヨさんの生命力がウエノさんに移動しヤチヨさんの魂が転移されてしまいました」


 リンアーナは、タブレットサイズの画面を出現させ事の顛末を映像付きで説明をしてくれた。映像証拠をつけ付けられては信じる他なく譲は状況を最終的には受け入れる事にした。もちろん2時間はたっぷり飲み込むまでに時間がかかった事は付け加えさせてもらう。


「えーっと、続きをいいですか?…ヤチヨさん、あなたを元の世界に戻すことはできません。ですので提案ですがウエノさんの代わりになってしまいますがマナウェルスへ転生、もしくは転移しませんか。それとも元の世界で転生を望みますか?」


「異世界転生…現実なんだぁ…はぁ…よしっ!切り替えるっ。リンアーナ様?もう大丈夫です、転生か転移か…その前にマナ…ウエルス?はどんな世界なんだ?魔法は?科学は?銃はあるの?」


譲はくよくよ悩むのをやめて、もう元には戻れないのだからさっぱりと切り替える事にした。

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