新たな武器と宝刀
まさか、俺たちの財宝にそんな価値のあるモノが混じっていたとはな。
「
「その通り。ワシが欲しいのはピンクダイヤモンドだ」
80億の価値があるダイヤモンドかよっ……!
それを
ただ、今の危機的な状況を考えると拒絶もできないな。ここは保留にするか。
「いったん考えさせてくれ。さすがに高額だからな」
「よかろう。早い内に返答をくれるとありがたい」
ひとまずは考える時間を得た。
安心していると、今度は北上さんが千国の爺さんに交渉していた。
「あたしの方からもお願いがあります」
「なんだ、絆」
「武器と弾薬を提供して欲しいのです。もちろん、言い値で買いますので」
「ああ、裏の倉庫にたくさんある。好きなのを持っていけ」
やっぱり武器が保管されているんだな。さすが櫛会……。
さっそく見に行くことになり、黒服についていくことに。
裏庭へ向かうと、大きな南京錠が掛けられた倉庫があった。それに監視カメラもいくつもある。猛犬もいた。おっかねえな。
倉庫内へ入ると、アサルトライフル、ショットガン、ハンドガン、マシンガン、ロケットランチャー、手榴弾、ダイナマイト、ナイフ類、日本刀、防弾チョッキ、治療薬などなど映画の武器庫みたいな空間が広がっていた。
なんだこりゃあ!!
いくらなんでも武器ありすぎだろッ。
「……わ、わぁ! なにこれぇ!」
ドン引きする天音さん。
俺もさすがに引く。
北上さんは瞳を星のようにキラキラ輝かせ、導かれるようにフラフラと歩いていく。おいおい、大丈夫かよ、この軍事マニア!
「北上さんって武器とかで興奮するタイプなんだな」
「……うぅ。啓くん、あたしはそんなヘンタイではありませんよっ!」
珍しく顔を赤くして否定する。いや、もうバレバレだって。
そんな和やかな空気の中で、俺たちは武器を選定していく。まるでデパートのように選びたい放題だ。これだけ自由に選択できるのなら、困らないな。
俺はハンドガンや手榴弾など持ち運びがしやすいアイテムを選んでいく。天音も動揺で、目立ちにくい武器を。
北上さんは……おいッ!
「ロケットランチャーはダメだろ!」
「だめですかね?」
「それをどうやって持ち運ぶんだよ……」
「確かに、これは目立ちますね。アサルトライフルやマシンガンも大きすぎます」
「せめて、コルトM1911とかデザートイーグルあたりにしてくれ」
「それも魅力ですが、イングラムM10を発見しました」
「小型のマシンガンか」
45口径9x19mmパラベラム弾。
持ち運びしやすいサイズだから、アリだな。
俺はどちらかといえば、
それから更に武器を選び、仲間の分も確保した。武器が合計三十五丁、弾薬も数千発以上、投擲武器も大盛――と。
「ねえねえ、早坂くん」
「どうした、天音」
「北上さん、アレ持っていくのかな?」
北上さんの方を見てみると、彼女は日本刀で素振りをしていた。
ちょ、おい!!
「まて、それは持っていけないだろ!?」
「大丈夫です。ちゃんと刀袋に納めますし、剣道部であると誤魔化せば問題ありません」
サイズ的にちょっと止めて欲しいところなのだが、北上さんの上機嫌な顔を見てしまうと、なんか許せちゃうんだよな。
「欲しいんだな」
「はい、この『
「へえ、
「啓くん、刀は普通二本以上を打つものなんです。こっちは“真打”ですね」
そうなんだ、知らなかったぞ。
「ねえねえ、北上さん。その刀凄いの?」
「そうですよ、天音さん。これは国宝、重要文化財指定されるほどの宝剣ですよ。物凄く価値があるんです」
「わぁ、詳しいんだね」
「それほどでも!」
なんで北上さん、テンション高いんだよっ!
まあいいか、これで武器選びは終わった。
必要な武器はいつでも持ち出していいということになり、俺たちは武家屋敷を出ることになった。
黒服が見送ってくれた。
「早坂 啓、いつでも連絡をくれ」
「分かったよ。千国の爺さんによろしく」
「ああ」
背を向け、黒服の男は屋敷へ戻っていく。
俺たちは再びタクシーを捕まえ、ホテルへ向かった。その道中、北上さんは「千国お爺ちゃんの屋敷で泊っても良かったのですよ?」と言っていたが、俺は首を横に振った。
「いや、あそこじゃ落ち着かないだろ。それに、せっかく博多に来たんだ、少しは楽しまないと!」
「それはそうですけど、ロシア人には気を付けてくださいね」
「心得た」
予約したホテルへ向かう。この辺りでは結構料金も高めの良いホテルだ。
駅から少し離れたビル風のホテルへ。
日が暮れてきたせいか、ネオンとか雰囲気がある。なんだか大人の世界。
「お~、ここがホテルか」
「へえ、なんか高級ホテルって感じがするね」
天音の言う通り、ビジネスホテルとはちょっと違う感じだった。料金も若干高いようだが、大浴場があったりマッサージも充実しているようだ。こりゃいい。
疲れ切った体を癒せるぞ。
今日のところは、このホテルで一泊だ。
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