久しぶりにシたい

 別荘の前に立ち、改めて生還を喜んだ。

 やっと故郷に帰ってきたんだ。いろいろあったけど、無事に帰ってこれて良かった。しばらくは、ゆっくりしたいな。


 疲れを抱えたまま、別荘の中へ。


「やっとゆっくりできますね」


 北上さんが俺の肩に手を置く。


「そうだな。いったん落ち着いたら、次のプランを考えよう」


 海外移住計画を練り直す必要があるな。むろん、マレーシアは絶対なのだが、こうトラブルに巻き込まれていては、身が持たない。もっと徹底的にやらねばならないか。


 細かいことは、また後で考えよう。



 天音の別荘は……別荘というか、豪邸だった。



 三階建て、プール付き。リビングも十人パーティができるくらい広い。キッチンもなんでも揃っているし、お風呂もサウナ付き。金持ちの特権だなぁ。


 俺は自分の部屋を貰い、ひとりベッドでくつろいでいようと思った。だが、ロックしているはずの扉が開いて、笑顔の桃枝が入ってきた。


「ちわ~、てっちゃん。ハッキングしちゃった」

「おいコラ、桃枝。電子ロックされていたはずだがな」

「愛ちゃんの別荘って本当すごいよね。スマートロックされてるとかさ~。でも、私に掛かれば、これくらい楽勝に解除できちゃうけどねー」


 まったく、仕方ない奴だな。


「で、桃枝。俺になんの用だ?」

「もちろん、海外の動きについて」

「なるほど、それは是非聞きたいな」


 ベッドへ招くと、桃枝はソワソワしていた。顔を赤くしていったいどうした? って、まさか……なにか期待しているのか。


「見返りが欲しいなぁ」

「見返りか。なにが欲しい?」

「決まってるよ、てっちゃんが欲しい」


「――んなッ!?」


 いきなり飛び跳ねてくる桃枝は、俺の腰に抱きついてきた。女の子特有の良い匂いがして、俺は脳がピリピリした。



「てっちゃん……私、久しぶりにシたい」

「そ、それってつまり……」

「最近してくれないじゃん~」

「そ、そうかな」

「そうだよ。ずっと寂しかったから、しよ?」


 誘惑してくる桃枝は、俺のズボンに手を伸ばしてくる。マジか、心の準備が……!


「桃枝……」

「愛ちゃんや北上さんとかばかりズルい。私もてっちゃんと気持ちいことしたいの」


 ……うぉ。今の桃枝、すげぇ可愛い。こんな積極的に求められては断れない。俺は身を委ね、桃枝に気持ち良くしてもらった。



 * * *



「…………ん~、おいしい」



 ごくんと飲み干す桃瀬。

 さっき喉に絡んで、今は水を飲んでいた。



「大丈夫か、桃枝」

「うん、へーきへーき。初めてごっくんしたけど、凄いね」

「あはは……なんだか俺も照れるな」


 俺は桃枝の口元を拭ってあげた。よし、綺麗になったな。


「ねえねえ、この先もする?」

「したい。だってもう俺、興奮が止まらないし……桃枝を襲いたい」

「さすが、てっちゃん。えっち~」

「そういう桃枝こそ、どこ触ってるんだよ」

「え~、ナイショ」


 いちゃいちゃしていると、桃枝のスマホが鳴った。なんだいいところなのに~。


「桃枝、着信っぽいぞ」

「え~、誰だろ。ちょっと待っててね」

「おう」



 桃枝がスマホを手に取り、画面を覗くと驚いていた。な、なんだ……? 気になって聞いてみると、どうやら海外に動きがあったようだ。



「ごめん、てっちゃん。ちょっと海外を探るから仕事に戻るね」

「マジか。なにか分かったら教えてくれ」

「もちろん」


 急いでシャツを着る桃枝は、俺の部屋を後にした。一人になってしまった……しばらく寝るか。


 ベッドに身を預けると、なにか顔に当たった。


 って、これは……桃枝の下着じゃないか。アイツ、付け忘れているぞ……。ノーブラノーパンで行ってしまったのか。

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