【番外編】 楽しいこと……しよ?

【無人島生活:???日目】



 嵐が続くある日。

 俺はリコと共に食糧調達に出ていた。

 たまには二人きりということで、食えるものがないかと島を歩いていたら――突然の嵐に見舞われてしまった。


 偶然見つけた地下洞窟に身を潜めた。



「この島って、洞窟がたくさんあるっぽいね~」



 外を見つめながらリコは笑う。

 彼女の言う通り、この無人島には地下洞窟があっちこっちにあるようだ。入ったら迷って二度と出られそうにないが。



「それより嵐だ。これではしばらく外に出れんな」

「止むの待つしかないよね」

「そうだな。それまでは大人しく地下洞窟で……」


「ま、まさか……二人きりだからって、リコを襲う気……!?」



「寝るか」

「――は?」



 ジトっとした目を向け手くるリコ。いくら俺でも時と場所くらい弁えるがな。

 岩に背中を預けてのんびりしていると、リコが近づいてきた。



「……ち、近いぞ」

「ちょっと! この状況なら、普通はそういう雰囲気になってもいいよね!?」


「なにを期待しているんだ」


「そ、それは……えっと、その……」



 珍しく顔を赤くするリコ。目が泳いでいるな。――いや、分かってはいる。でも、リコが望んでいるとは思わなかったんだ。


 彼女は、北上以上のギャルだし、小柄で魅力もある。なんと言っても健康的な手足は俺好み。


 リコと付き合えたら毎日が退屈しないだろうなぁ。



「すまん。ていうか、俺なんかのどこがいいんだ? そこが不思議でさ」

「どこがって、そりゃ全部かな。行動力あるし、助けてくれるし、ご飯を見つけてくれるし~。女子をまとめあげてるところとか凄いと思う。普通の人にはできないよ」


「……そ、そうかな」



 なんだか妙に照れ臭いな。

 頬をポリポリ掻いていると、リコは抱きついてきた。


 …………マジか。


 他の女子とは違う感覚だ。

 なんだろう、凄く新鮮だ。


 天音とか北上とも触れ合うことはあった。それぞれの感触があったけど、リコは“人をダメにするクッション”的な柔らかさがあった。


 これには驚きと感動があった。



「啓くん。リコと楽しいこと……しよ?」



 上目遣いで視線を向けられ、俺はそれだけで興奮してしまった。……こ、これは勝てん。この色目を使われたら、男なんて瞬殺だろうな。

 少なくとも俺は落ちていた……。



「……リコ」

「うん。優しく触って」



 俺はリコに触れていく。

 少し撫でただけなのにピクっと反応して可愛かった。……あぁ、もう理性も何もかもぶっ飛んだ。



「リコが悪いんだからな」

「うん、リコのせいでいい。だからね、このままいっぱいしよ」

「……分かった」



 ――嵐のことなんて忘れて、俺はリコと楽しい一時を過ごした。



 * * *



「…………げ、限界だ」

「え~、リコはまだいけるよ?」



 ……もう俺は枯れ果てた。けど、リコはまだ求めてきた。まさかここまで性欲が強いとは……。



「ストップ。ここまでだ」

「え~…まだやれるのに」

「ほら、外も晴れてきたし」


「……あ、ほんとだ」



 洞窟の外には、いつの間にか青い空が見えていた。嵐が過ぎ去ったようだ。これ以上は、天音や北上に見つかりかねない。


 乱れた衣服を戻していく。



「……ふぅ。リコってば大胆すぎだろ。手慣れている感じがあったし」

「はじめてだったけどね~」


「嘘だろ!? めちゃんこ上手かったぞ」

「えっちな動画とか見てたからね」

「そうなのか!?」

「女子だって、それくらい見るよー」



 そういうものなんだな。

 知らなかったぞ。


 じゃあ、天音たちも……?



「とにかく、ありがとう。貴重な経験ができた」

「うん、ただし二人だけの秘密。ナイショだからね」

「もちろんだ。こんなこと誰にも話せないよ」



 身嗜みを整えたところで洞窟を出た。

 外は元通りになっていて、強い日差しが照らす。そういえば、ここから浜辺が近いっけ。



「啓くん、行くの?」

「そろそろ出よう。浜辺へ行けば、お宝があるかも」

「さっきの嵐でなにか流れ着いているかもってこと?」

「そそ。行ってみようぜ」

「オーケー!」



 洞窟を飛び出て、歩いて浜辺へ向かった。そこそこ距離があったが、見えてきた。やっぱり嵐のせいかゴミが散乱していた。このゴミの中にお宝はあるはずだ。


 さっそく浜辺を歩いてみる。


 相変わらず、ペットボトルやスチロールやら……ゴミが流されてきているな。使えそうな容器は回収だ。



「ん~、便利そうな道具はないかな」

「ねえねえ、啓くん! これは使えないかな?」



 リコが何かを拾ったらしい。

 それを確認してみると――。

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