七人の女子に追いかけられる俺
五人の女子は、着替え終えてそれぞれ名乗った。
全員、スタイル抜群で美少女だった。
胸のサイズに多少の差はあるけど、どの子も可愛いな。特に天音と知り合いという野茂は、巨乳すぎてビビった。
つい目が向くのだが、天音に阻止された。
「早坂くん、どこを見てるの」
「いや、なんでもないって。それより、五人はどこで生活を?」
俺がそう聞くと、大伊という気の強そうな女子が事情を話してくれた。
「私達はテントで寝泊まりしてるの」
「テント? テントがあるのか」
「自作のテントだけどね」
大伊の指さす方向を見ると、そこには見事なテントがあった。運動会とかであるイベントテントみたいな構造らしい。
なかなかの職人スキルだな。
この五人が力を合わせて作ったらしいが、見事だ。
「へえ、あれはブルーシートかい?」
「そう。流れ着いていたものがあったからね。たぶん、船から流出したものだと思う。で、そっちはどこで?」
「こっちも似たような感じだ……って、大丈夫か?」
なんか大伊の足元がおぼつかない。
いや、他の四人もフラフラしている。
まてまて、今度は次々と倒れていくぞ。
「「「え!?」」」
俺も天音も、ほっきーですら驚いた。
いったい何の儀式だ? いや、違うな。これは熱中症っぽいぞ。
今日は暑いもんなあ。
俺は急いでペットボトルの水を取り出して、彼女達に飲ませた。
「天音、ほっきー。大変かもしれんが日陰に運ぶんだ」
「うん、分かった」
「僕もがんばりますね!」
俺は大伊という女子の脇に腕を通して引っ張っていく。緊急事態につき、触れたことは許してくれっ。
なんとか五人を運び出し、しばらくすると目を覚ました。
「……こ、ここは」
「おはよう、大伊さん。熱中症で倒れたっぽいぞ」
「あ……そっか。ここ数日、水なんてまともに飲んでいなかったから」
「おいおい、マジかよ。よく生活できたな」
「一応、木の実とかは食べてやり過ごしていたから」
「なるほどね。手分けして頑張っていたわけか」
「早坂くんだっけ……この水どうしたの」
「こっちは水源がそこそこあるんだ。それはちゃんと煮沸消毒したものだから、安心して飲めるよ」
「すご……飲める水を確保できるなんて、凄いわ」
他の四人も俺に尊敬のような眼差しを向けてきた。な、なんだろう……。
てか、よくよく考えたら男は俺ひとりかよ。
今、七人の女子に囲まれてしまっていた。
なんて状況だ。
このまま洞窟まで行くとしたら、女子11人に囲まれるわけか。
なんだそのハーレム。
なんか昔にそんな島の話を聞いたことがあったな。
あれも無人島で起きた事件だったかな。
男十人位に対して女が一人だったはず。
そんなことを考え、脳を回転させていると大伊やその他の女子が立ち上がった。
「ど、どうした」
五人とも俺をジッと見つめた。
「彼、水が作れるみたい」
「えっちなことすれば赤ちゃんも作れるよ」
「男はどうかと思ったけど、必要な存在ね。力仕事もできるし」
「わたしは燃えるような恋がしたいと思っていたの!」
「これ、取り合いになるよね」
え、え……えええええええええええッ!?
なんか五人とも顔が怖いのですが。
「ちょっと、早坂くん!! どういうこと!!」
「お、落ち着け……天音。俺もよく分かっていないんだ。どうしてこうなった?」
「わたしが知るわけないでしょ、この浮気者ぉ~!!」
うわぁぁんと泣き崩れる天音さん。
いや、そこ……助けてくれよ!
「ほっきー、なんとか言ってくれ」
「……僕はノーコメントで。でも早坂くんを取られるわけにはいきませんね!」
「おま……」
そんなわけで俺は……女子五人――いや、七人から追いかけられた。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……!!!!!」
背後から七人の女子が走って追いかけてくる。
普通に考えたら、めちゃくちゃ嬉しい状況なのだが――怖い! なんか怖い! ので、俺は逃げた。
逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、逃げまくった。
森へ、洞窟へ!!
誰か助けてくれえええええ……襲われるぅ!!
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