寮を訪ねる

大学での授業が始まる日。私、派留美はるみの彼氏、ただしのことだから、遅刻するんじゃないかと心配して寮を訪ねた。

教えてもらってた部屋のドアを叩く。が、反応なし。


「あれ?どうしたんですか?」


その辺に住んでるっぽい学生さんが話かけてきた。


「ここには高峰たかみねさんが住んでいますよね?」


「え?あぁはい。あいつに用ですか?」


「彼を今すぐ起こして下さいませんか?」


「え?今日から授業あるんですか?あいつ」


「そうです。お願いします」


すると彼は、ドアを乱暴に叩きだした。私もそうすればよかったんだけど…そんなことしたらドアを壊しかねない。しばらくして…やっと匡が現れた。


「…何?まだ朝だよ?」


…パジャマなんですが。


「匡!さっさと準備しなさい!」


「え?派留美?なんで…?」


「まったく、匡が遅刻しないように起こしに来たのよバカ!」


「わーありがとー!嬉しい~」


へらへら笑う匡であった。


「高峰、…この子は彼女なの?」


さっきの人がいきなり口を開いた。


「そう。かわいいでしょ?」


…匡の返答。適当なんですけどー!


「ま、まじか?あれ…もしかして入学式で挨拶した人?」


「そーそー!大当たり~!」


「バカ言ってないで、さっさと準備して!」


「はーい」


「遅刻したら許さないから!」


「わかってるってばー」


とは言うけど、だらだらするんだよ、匡は。

とりあえず玄関で待つことにした。


「朝ご飯は?」


「まだ~!食べなくていいかな~」


「だめ!…もう、私が作るから。あがるよ!」


「高峰、至れり尽くせりだな」


「そーだね〜」


まるで他人事なんですけど!寮での匡は、まるでなんにも出来ない。今まで実家暮しだったから…しょうがないなぁ、もう。


それからしばらくして…


俺、高峰匡は派留美と住んでいる。つまり、結婚した。低血圧な俺は、朝がかなり弱い。

しかも朝食をよく抜くし、ほとんど食べない。寮に住んでいた時はそうだった。(たぶん2ヶ月も住んでないけど)


でも、今は派留美がいるから、朝食も作ってくれるし、朝は優しく起こしてくれる。ような気がする。


これで、なにもできない俺は、大学卒業できるかもしれない。派留美はやっぱすごい!

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