大学生

入学

夢にまで見た、東京大学…!

入ることなんて無理っ!…と親から言われていたけど、頑張って附属中入って良かった。

だけど、専攻したかった法学部はレベル違いのため、受けさせてもらえず…第2志望の経済学部に滑り込み入学。

ただ、嬉しかったのは…小学校から付き合っている彼女の派留美はるみと同じ大学、同じ学部になれたこと。学科は違うけど、嬉しい。

入学式に一緒に行こうと電話したけど、


「ごめん、明日は早めに行かないといけないから無理。それにパパも行くからさ~」


「そっか…じゃあまずいね。わかった。また電話するよ」


「うん、じゃあね」


…派留美はなんで早目に行くんだろ?

なんて思いながら、明日の入学式のためのスーツを準備した。


次の日。


入学式が始まった。派留美どこ座ってるかな?探したけど、どこにもいない。

…まさかの遅刻?


「新入生代表挨拶。代表、細川派留美」


…!?え?派留美?


舞台を見ると、舞台袖から派留美が出てきた。スーツだけど、スカート丈は短くて、度つきのサングラスをしている。おまけに8cmほどのピンヒール。


カツカツ…


ヒールの音が会場のどよめきで消える。面白い光景だ。やっぱり頭いいから選ばれたんだ。そう考えているうちに、話始めた。

内容は至ってまじめで、まるで大学が用意したようなものを、事務的に読んでいるみたいだった。


「…以上。新入生代表、経済学部、経営学科、細川派留美」


至って普通に舞台袖に消えた。その後、式は終わり解散になった。派留美、どこかな…?

しばらく、式場の外で待ちぼうけしていた。


「あ、ただし!」


「あ、派留美…!お、お父さん…は?」


「帰ったよ?」


「そ、そか…ってか!さっきの何?びっくりしたよ~」


「…あぁ、あれか。なんか昨日急に決まって、まじめんどくさかった」


「その格好でも、怒られなかった?」


「別に何も?」


「なんで昨日言ってくれなかったの?」


「別にたいしたことないし…」


「…派留はかわいいからさ~、今日の見てた男子に狙われないようにね」


「別に私かわいくないし」


「そうじゃなくてさぁ。派留、露出度高いよ」


「そんなことないし…!」


「そう?なの?」


ものすごい怒られたから、もうこのことには触れないでおこう。大学生活の開始である。

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