日常

私は普段、授業中は暇でしょうがない。けど、みんな一生懸命だしぼーっとしてるのもなんだから、経済学の本を読んだりしている。罪悪感はあるけど、他になにしたらいいんだろう?中学で大学の勉強してたし、今は経営のことばかり。パパの会社を早く手伝いたいし、そこはちゃんと勉強しないと。

授業が終わって帰ろうかとしていたら、見知らぬ男の子が机の前に立った。


「どちら様?」


「あの、隣のクラスの、ものです」


「え、私になにか?」


「少しお話をしてもいいですか?」


「はあ、どうぞ」


「こ、ここではなんなんで、移動しません?」


「あの、私今日は用事あって。ここでできないなら、明日でいいですか?」


「い、いやすぐ終わります。ちょっと、廊下まで」


「え?」


なんだ、怪しい。


「あの、俺と付き合ってください!」


「…申し訳ありません。お断りします。あなたのことは全く存じておりませんし、初対面でそのようなことを言われたら誰しもが断ると思います」


「そ、そうです、よね」


しまった。言いすぎた!泣いてるしー


「さ、さよなら」


うーー!どうしたらよかったのよ!

もやもやしつつも、匡との待ち合わせの公園へ。


「派留美!お待たせ」


「匡。…今日は塾ないの?」


「今日はね。バイトなかったの?」


「うん」


「そー。よし、ベンチ空いてるし行こう」


近場のベンチに座る。


「ねぇ、手かして?」


「なに?」


そう言いつつ匡は手を差し出す。


「ぎゅっとにぎるの」


「どうした?」


「なんとなく」


「こっち見て」


見上げたら、キスされた。


「な、なにいきなり!」


「ぎゅってしてあげる」


抱きしめられて、落ち着く。ガリガリだけどね。頭もなでなでされて、私ちっちゃい子だよ。


「今日…告白された」


「えー!さすが!もてるなー」


「でも、泣かせちゃって」


「へー」


「私、嫌われたくないし、泣かれたくもない」


「え、なにそれ?そいつ好きなの?」


「違うし!だって匡しか好きじゃないもん!」


「えー照れる」


「照れてない!」


私は熱いけど。


「あれ、泣いてるの?」


「もー!見ないで!」


「もっかいぎゅっとしてあげる」


「うーこのガリガリめ!」


「えーじゃあムチムチなの?」


「なによ!バカにしないで!」


「えへへ。元気出た?」


「うん、ありがと」


匡はいつも優しいもん。知ってるもん。だから会いたくなるもん。

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