第四十二話『他校の奴ら』
『さぁ始まりましたトーナメント第二試合!場所は市街地。シンク高校、なんか一人しかいないようなんですけど?』
『恐らく宣戦布告でしょうね。初めから我らの高校のみを見ている物と思われます』
『成程……。さてどうなりますかね?』
シンク高校は、ランゲイジ一人の入場。明らかにヤノカを意識している行為である。対するトトリ高校はフルメンバー、そりゃそうである。そういう訳で試合が開始されるのだが、ランゲイジが奇行を始める。
『おやランゲイジ選手、壁を殴っています。どうしたんでしょ?』
『今回、知られたら負けが確定する我流魔法使いもいますし、基本的にこちらにも我流魔法は知らされていません。……まぁウチの生徒は大体知られているでしょうが、知ったところで対応が難しい奴らが揃ってますから』
壁が拳で凹む光景を、目の当たりにしたことがあるだろうか。これこそがランゲイジの我流魔法、『
対象は壊れない限りほぼ全てである。なので壁を殴っていると言う訳だ。しばらく殴っていると、穴すら開きかねない威力へ変わる。鉄筋コンクリートがである。
『あの拳食らいたく無いですねえ……。我流魔法は殴るたびに攻撃力が上がるのでしょうか?』
『かもな。まぁ詳しいことは分からんが……。今から戦闘本番って事だけは分かる』
そして、壁の破壊音を聞いてトトリ高校の三人がやってくる。二人がアタッカーで、一人は遠距離から攻撃力と言う感じである。音のする方向から最上階だろうと判断し、階段を上っていく。
「一人だからって油断するなよ?相手は未知数だからな」
「あぁ。よし行くぞ!」
その瞬間。階段を上った男の顔面に、恐ろしい攻撃力の拳が突き刺さる。その威力は、殴った衝撃で反対側の壁に体が突き刺さると言う程。それでもまだ、彼の体は壊れていない。
「さぁ来いよ!少しは楽しませてくれよな!?」
すなわち、まだ攻撃力は戻っていない。完全に意識していなかった攻撃に、体がこわばった瞬間、そこを目掛け再びパンチ。構えもひったくれもないテレフォンパンチだが、その威力は壁を破壊しなお有り余る威力。
「さてあと一人……」
『強い!ランゲイジ選手圧倒的!』
『火力だけならここにいる全参加者の内、一番じゃないですかね?なんにせよ、食らえば即死。仮に受けれても重症ってところでしょうね』
そして最後の敵を発見したランゲイジだが、先ほど勢い余ってコンクリートまで破壊してしまったので、また攻撃力を溜めなおしである。しかし、それは事実上の死刑宣言でもあった。
「さて降りてきたわけだが……」
ボコボコになったコンクリートの中、一階に降りてきたランゲイジ。すると銃弾が彼を襲う。しかし慌てず素手でそれを掴むと、大体の射撃位置を把握、そのまま進んでいく。
「化け物……!」
『恐ろしい!悠々と歩いていくランゲイジ選手!放たれる銃弾を次々と受け止めていく!』
『弾かずキャッチすると言う技術を見せながら、接近……。明らかに挑発行為ですかね』
そして最後の選手がいる場所にたどり着くと、二階から見てくる敵に向け、弾丸を素手で投げる。彼の我流魔法は『
『あーあこれはひどいですね』
『そんな事言わないであげてください!?……と、ともかく!シンク高校が準決勝進出!さて第三回戦の実況へ向かいましょうか!』
と言う訳で戦闘が終わったランゲイジは、控室に向かう。その途中、やって来たフィルと出会う。特に因縁がある訳ではないが、知っている顔なので二人とも会話をする。
「よっフィル」
「よぉラン」
因縁がないとは言ったが、実はちょっとだけ関りがある。それは家に関しての話。この二人の家は、やや親戚と言う感じの家なのだ。ややと言うのは、完全に親戚でないと言う事。
「しかしマジでお前がやってくるとはなぁ……。なんか大会とか興味ないとか言ってたクセに」
「俺もそうだったんだがな?なんか俺以外に出れる選手がいないとか言われてさ。仕方なく出ることにした」
「で、ウチのヤノカは……どうよ、お前から見て」
「強いんじゃない?……。闘いってのはあぁでなきゃな!」
そういうと、一人部屋へと向かうランゲイジ。それを見て、フィルはその背中に声をかける。
「言っておくが、ウチのヤノカは……強いぜ?」
それを聞いて、ランゲイジは腕を振って部屋へ入っていくのであった。
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