第十話『強烈なクラスメイト』
「はぁ……。何とか間に合ったよ……」
「すまんリン。しかし有名人ばかりだな。一名そうでなくとも面白い者がいるが」
「あっ『リン・ドドド・ミナ』と『ガル・ドドド・ミナ』だ」
教室に入ってきた二人、一人はガル。藍色と茜色の二色髪に、同色のオッドアイを持つ男。そしてリンの方は紫色のメッシュが入った淡い赤色の髪に、輝く葵色の目を持つ少女。制服は特にカスタマイズしていない。
「よく覚えてたね!私でも面倒だから省略しちゃうのに!と言う訳で私がリン!こっちのお兄ちゃんがガル!そう呼んでね!」
「よろしくだヤノカ。まぁ色々言われるだろうが……。私たちは元が平民産まれの親なのでな、特に気にしない」
どうやら二人は、それほど平民産まれである事を問題視していないようであり、割と普通に接してくれる。スターはその様子を、気に入らないような表情で見ていたが。
「と言う事はあと二人くらいか?」
「……」
「どわぁっビックリした!?えっ今来たの?!」
「ん。どいて」
と、入り口でそんなことをしていると登場邪魔になってしまう。後から来たかなり身長が低い少女は、そんな二人に退くよう言うと、結局隙間を通って勝手に行ってしまう。
「あいつは『リル・オブ・ラル』だ。まぁなんだ、あいつに話しかけても面白くないぞ」
「知り合いなの?」
「いや。シンプルに俺が一方的に知ってるだけだ」
どうやら不名誉な噂が多いらしいリルと言う少女。少なくともフィルですらその噂は知っているようであり。
「とにかく感情が薄いと言うか、無いと言うか……。話してて面白くないんだと」
「喋りたくないんじゃない?ほら、人間だれしも放っておいてほしい時あるじゃん。少し前までのフィルみたいに」
「そこは言うなよ!?……。まぁ俺らがとやかく言うべきことじゃないってのは分かるがな。話しかけたいんなら勝手にすればいい」
そう話していると、またまたやかましい足音を立てながら教室に走り込んで来る。今度も二人組であった。ただ違うのは、どちらかと言うと競っているような走り方であると言う事。
「おいまだ負けてねぇからな!?」
「そっちが勝手に競い始めたんじゃん!?」
「なんだなんだ?」
「「はい俺「私」の勝ち!」「ぐげぇっ!?」
様子を見に行ったフィルをふっ飛ばし、勢いよく入ってきた二人組。片方は赤い髪に赤い目、そして無駄に声がデカい男で。もう一人は青い髪に藍色の目、そしてこちらもやはり声がデカい女であった。
「あっフィルが派手に吹っ飛んだ!大丈夫かフィル!」
「あんたのが遅かったからあんたの負け!」「はぁ?!俺の方が足が先に入ったに決まってんだろお前!だから俺のが勝ち!」「なんですって!?大体」
「あー……。とりあえず一回落ち着かない?」
教室に入ってもヒートアップする二人組に対し、やんわりと落ち着くように言うヤノカ。フィルは吹っ飛んだ後スターの少し前くらいの場所に落ちていた。
「大丈夫?」
「死ぬかと思った。スターの奴、俺をバリアで止めやがった……」
「流石にぶつかられるのは嫌ですわ。どうせ大丈夫でしょう?」
「あのなぁ……もういいや。で?お前ら名前は?」
「ん?俺か?俺は『エンガ・テンメツ』だ!でコレが『ヒョウ・ハタヤマ』」
「これって何よコレって!第一あんたなんか炎系の我流魔法の家計のくせに、結局爆発物じゃない!」
「あぁ?!火力の高い炎魔法なんですけどぉ~!?」
もはや話すだけで喧嘩になる二人。と、その様子を見ていた一人の男が、やれやれと言うように立ち上がり二人の元へ。
「君たち」
「あぁ!?」「何よ!?」
「いい加減にしたまえ」
そう言うと、二人に電気ショックを流す。しばらく感電した後、二人共痙攣して床に這いつくばってしまう。
「ったく。いつもいつも喧嘩して……。あぁ、僕の名前は『リ・ボルト』。とりあえずよろしくと言う事で」
「あ、あぁ。よろしく」
リ・ボルトと名乗った男は、黄色の髪にイナズママークの付いた目、そして全身に光の線が走っていると言う奇妙な見た目をしているのに対し、その人格は真面目そのもの。二人を黙らせた後は席に座って黙々と読書を再開する。
「……もしかしてこの三人知り合い同士?」
「だろうな。さてこれで全員か?」
「おいお前ら席につけー。これより点呼を行う。名前呼ばれたら返事しろよ」
と、そんなこんなしていると、シャードが入ってくる。皆一様に自分の席に座ると、それぞれ名前を呼ばれていく。
「アルカ・リレットゥ・セイ」
「はい!」
「エンガ・テンメツ」
「……は、はい……」
「ガル・ドドド・ミナ」
「はい」
「ジャンガルグ・ディスダルゴ・メー」
「押忍!」
「トリカ・トレッカ」
「ん-……。あっはい!」
「ビゾン・ファイパイ」
「はーい」
「ヒョウ・ハタヤマ」
「はーい……」
「ポラリス・スターロード」
「はい」
「ナル・トライグル・メニ」
「はいっす!」
「ヤノカ」
「はい!」
「ラック・ロック・レック」
「承知した」
「リ・ボルト」
「はい」
「リジュ・メ・ナ」
「うむ!」
「リル・オブ・ラル」
「……。ん」
「リン・ドドド・ミナ」
「はーい!」
「レギン・ド・フィルガ」
「はいよ」
「以上十六名だ。じゃこれから校長の挨拶があるんで全員体育館に行くぞ」
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