論破判定資格制度

夏秋冬

論破判定資格制度

2025年、文化庁は国家資格として論破判定員の資格制度を制定し公布した。

放送メディア、インターネットの言論空間での議論において、稚拙な議論や、議論を有利にするために虚偽の情報を提示する者が後を絶たず、また、そのような言論が繰り返され、挙げ句は「はい論破!」と宣言した側が議論の結果に正当性を担保するといった不公正な状況を改善するためのものであった。

判定員は様々な分野に分かれ、その専門性を試験によって問われることになった。政治、経済、法律、歴史、社会、哲学、科学、技術、芸術、などの大きな分類に分けられ、その下に例えば政治であれば、国内政治、国際政治、東アジア政治、民主主義、共産主義、独裁政治といったサブジャンル毎に試験を受ける形となった。試験に合格し判定員の資格を持つ者は専門性を有する人物として認められた。

以後、あらゆる討論番組においては判定員の同席が求められた。政治評論家を名乗る者が出演していれば、その専門性に該当する論破判定員が複数共演し、出演者の議論を判定する。これはフットボールにおける主審と線審のような役目を果たし、あやふやな事実や虚偽があればイエローカードやレッドカードが示され番組途中で退場を命じられることさえあった。

学者の中には有利な判定を求めて金銭で買収を試みたり、男女の関係では色仕掛けでの買収というものもあったが、論破判定員はそれらをしっかりと拒絶し、また、その事実を漏れなく公表したため、論破判定委員の評価は次第に信頼されるものとなった。これは、そのような買収を論破判定員が受けることがあれば資格剥奪、以後の資格再取得への道が完全に閉ざされ、あまつさえ罰金制度もあるなど厳しい罰則があったからに他ならない。


論破判定員の普及によって少しづつ本邦の言論空間は正常化し、資格制度誕生前に頻繁にメディアに出演していた偽学者、コメンテイター、インフルエンサーの殆どは駆逐され、言論空間から消え去った。

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論破判定資格制度 夏秋冬 @natsuakifuyu

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