✝️仏打サイド✝️ 始まりはいつも馬鹿

佐世保市高梨町


マンションの一室、俺は自宅で大麻を楽しんでいた。


変にハイにならず意識はクリアなまま音楽が頭のなかで直截演奏されているような、中々に良い仕上がりだ。


やはり本場の物は違う。

仕入れる甲斐はあった。ひとりで音楽やゲームを楽しみ緩やか心地よくにシラフに戻っている途中、不快な電話の呼び出し音が鳴った。


画面を見ると知らない番号、誰だ?とは思ったがよく考えるとこれはチーム用のスマホ。



暴走族メンバーの内の誰かだろう。


電話に出て見ると十代特有の高い声でキイキイわめき散らしている。


苛ついたが兎に角落ち着かせ話を聞いてみると、なんと俺のハンバーガー屋が襲われたらしい。寄りにも寄って相手はあの仇と三村。何故そんなリーダー自らが襲って来たのかまったくわからないが、向こうのリーダーに襲撃されて黙って見ているわけには行かなくなった。


面倒でちょっと怖い。いったい何が起きたのか。とりあえず電話を切ってラインでケンカが出来る幹部数人に連絡。運良く連絡を入れた三人が三人ともハンバーガー屋に向かう段取りとなった。自分ひとりで行くことを免れて幸運だった。



そしてふと思い出す。


松本だ。

あの馬鹿なオッサンを連れて行けばなにやら面白い事になるかも知れない。


早速電話をしてみる。居留守を使われるかと思ったが5コール目くらいで電話に出た。寝ぼけ声でなにやらむにゃむにゃ言っていて気持ち悪い。


「けんかになりそうなので来てください」



そう告げると絶句していたが二言三言話す内になんとか出てくる事になった。なかなか義理堅い奴なのかも。


 車で日宇町まで迎えに行ってやった。

松本はあの公園で見た時と同じ服装で待ち合わせ場所にたっていた。ウンコ臭かったらどうしようかと思ったがウンコの臭いはしなかった。



俺のアウディにしきりに感心していた。


そして俺も昔はアウディに乗っていてどうのと無意味な嘘をまたついている。


嘘を嘘で塗り固めるクズのようだ。俺は無視して車を走らせる。


運転中、普通に紙巻き煙草を取り出し火を点けようとしたので禁煙だと告げると本当に子供のようにへそを曲げた。


三十歳だと言うのに口をひん曲げ駄々っ子のよう。


アイコスなら良いですよと逃げ道を作ってやったのにアイコスはまずいからどうのとグチグチ言っている。


それから二人は口も聞かず目的地のハンバーガー屋まで無言のままだった。


到着したハンバーガー屋は外灯も点けず辺りは薄暗い。


そんな中店の前には明らかに派手なバイク、店内のブラインドカーテンから漏れる僅かかな光が異常な怪しさを醸し出している。


隣に居る松本はもっとびびっていることだろう。


俺も怖いは怖いがリーダーでは有るし、なるべく堂々たる立ち振る舞いを心がけて店内に入った。



 中は滅茶苦茶。所々に血痕。割れた瓶に倒れたテーブル、酷い有様だ。先に中に居た幹部の三人が俺の元に駆け寄ってくる。



「リーダー、見てください」


顔を向ける。正面の壁に赤のスプレーで奴等からのメッセージがあった。


『武羅苦、三上』


誰だ?武羅苦に三上なんてメンバーが居たか?

幹部連中に聞いてもだれも知らない。たぶん俺達を完全に潰すために助っ人を呼んだのだろう。


ただでさえ強い仇と三村が呼ぶような奴だ。とんでもない刺客だろう。


俺は心底震え上がったが心の何処かにこれでこの馬鹿げた暴走族を終わりに出来るのかもしれない。



そんな期待が湧いて出たんだ。


仇よ、俺達を全部ぶっ壊してくれ。


幹部達は『武羅苦』を壊滅させると息巻いている。


俺は嗾けた。その通りだ、こんな舐められて黙ってられない。


奴等の別荘から滅茶苦茶にしてやろう。



とりあえずガラスでも全部割ってこい、それが

宣戦布告だと。



『『応ッッ!!』』


幹部三人元気一杯は松本を無理矢理連れて早速出かけていった。



その調子だ、全部終わらせてくれ。馬鹿は馬鹿らしくな。


全部終わってしまえ。

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