第39話

 翌日も朝から夕方まで箱と格闘。三日目。


 なんとなくコツを掴んだような気がするわ。


 小指の先から魔力を流し始めてゆっくりと一回転させて薬指、中指、人差し指と順に一定の細い魔力を流し、光っている継ぎ目に指を当てていく。すると箱はパカリと開いた。あれだけ時間を費やしたのに一度開けてしまえば簡単なものだった。


「流石マーロア。早かったね」


 どうやらこの箱は様々な角度から弱い魔力を一定の量で流すと開く装置らしい。ファルスはどちらかといえば魔力で押し切るタイプなのでかなり苦戦している様子。


「マーロアは次の段階に進むよ。この本にある魔法円を暗記して全て書けるように」


 そう言って渡された一冊の本。本自体は薄い冊子なので暗記はすぐ出来そうなのだけれど、これを正確に描くとなるとかなりの練習が必要なのだと思う。


 ここから一週間は毎日魔法円の記憶と書き取り地獄が始まった。


 ファルスは私の後を追う事約三日。


 ようやく箱を開く事が出来た。単純作業に飽き飽きし、ゲッソリしていたのは言うまでもない。今は二人でコツコツと魔法円を描く練習。


 私のような魔力が少ない人は魔法円を描く事で魔法の補助的な役割をしてくれるのでしっかりと覚えておいた方がいいとのこと。


 ファルスはと言うと、騎士団長クラスになるとある程度の知識は必要となるためにやはり覚えておいた方がいいのだとか。

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